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「なんだ、やっぱまっちゃんさんか」
いつもバイトが始まる15分くらい前には、着替えも済ませて事務所でケータイいじってんのに、なかなか来ねーなと思ってたら。
電車に乗り遅れたのか駅から走ってきたらしく、息が上がってる。
店の前の自販機で水を買ってきてほっぺに当ててやると、またそんな変な呼び方。
去年の学祭も終わってもう半年近く。
バイト先が一緒になったことで、俺とAの距離は更に近付いて、最近はそんな変なニックネームで呼ばれるようになった。
そろそろ松村さんやめない？って言ったら、じゃあまっちゃんさんにする！店長の真似！とかって。
俺が言いたかったのはそういうことじゃなかったんだけど。
その日のバイトの帰り道。
俺と慎太郎が話してる後ろで樹たちと今日面接に来ていたこの人の話をしているのが若干聞こえてきた。
可愛い子だったんだろ？って樹が言うからてっきり女の子だったんだと思い込んでいた。
けど。
��金髪��
��ハーフアップ��
その2つのワードが聞こえて、慎太郎と顔を見合わせる。
それで連想される、見覚えのある人物がいたから。
「それってきょもじゃね？」
慎太郎が振り返ってそう言うと、嬉しそうにギャーギャー言ってる樹。
そんなことよりも、なんでAから金髪とハーフアップってワードが出たのかが気になっていた。
もしかして知り合い？と思っていると
「いや、知り合いでは無いんですけど…
今日駅でたまたま見かけた人かなって」
京本と一緒にバイトをするのかと思うと、若干気まずい。
俺が顔に出てるのか分からないけど樹たちと別れてからも、Aは京本の話は俺には何もしてこないで、俺が過保護だとかお父さんみたいだとか。
そんなこと言ってくる。
別に過保護では無いと思うんだけど。
女の子を家まで送り届けるのは男の役目だと思うし。
まあ同じマンションだから送るも何もないけど。
いくらマンションの中だからって何も無いとは限らないし、第一Aは危機感というものが足りないから、普通に心配。
去年、初めて話した日に俺ん家にも普通に上がり込んでたし。
まあ、入れたのは俺だけど。
こうやって分かりやすく心配するのは注意喚起、のようなつもりでもあった。
だから��可愛い可愛い妹��なんて、ありきたりで雑な照れ隠しをしてしまうんだ。
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作者名：chaka
| 作成日時：2022年6月18日 12時
