花の高校生 (ページ5)

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第4話朔間凛月side ページ5

最近、眠れない。

理由は簡単。

Aがいないから。

この世界のどこにももういないから。

何回も、何回も病院で痙攣してゆっくりと心電図がゼロになっていってそれでピーピーと音を立てる。

今もその音が耳の中で暴れてる。

もういない。

もう死んだ。

たった1人の大好きな、大好きな女の子……

今日もあの日みたいな雨が降っている。

傘も差さずにただ俺は立ち尽くしていた。

すると後ろに普通科の生徒が何人か通った。

「ねぇねぇ、聞いた～？」

「なになに？」

「アイドル科に転校してきたあの子、ストーカーに殺されて死んじゃったって！」

「まじかー、でもあの子ムカつく子だったからざまぁって感じだよねー」

キャハハと甲高い声で笑う奴ら。

今、なんて言った？

何でこんな奴らは生きてるのにAが死んだの。

何でこんな奴らに見下されてんの。

ふと、昔、まだアイドル科に転校してきた頃Aが上履きをなくしたのを思い出した。

あの時も、いつも笑ってたけどもしかして……

「きゃあ！」

奴らの髪の毛を引っ張り言った。

「ちょっと来てくれる？」

すると俺を見て目を輝かせた奴らは簡単に俺の後をついてきた。

＊

そこはAの墓だった。

すると奴らは立ち尽くして俺を見た。

俺は持っていたカッターで思い切り奴らを切りつけた。

血が、Aの墓を雨と共に濡らした。

悲鳴と雨の音が混ざり合ってものすごい音を立てている。

でも今の俺にはそれが心地よかった。

あの心電図の音を消してくれるから。

夢中で切り続けていたら誰1人動かなくなった。

こんなに簡単に死んだのか。

まぁいっか。

「A、見てる？今から俺がAを傷つけた奴全員殺してあげる」

どうしょうもなく、どうしょうもなく、悲しかった。

でもそんなのどうでもよかった。

降る雨が俺についた血を落としていく。

ああ、今日は良く眠れそうだよ、A。