第10話 朔間零side ページ11
可愛い可愛いAが死んでから今日で丁度1ヶ月。
一体この短期間でこの学校や人間はどれだけ可笑しくなってしまったのだろう。
勿論、吾輩も。
そっと耳に触れる。
まだAが幼い頃、吾輩の誕生日に贈ってくれた赤いピアス。
「零さんは綺麗な赤い目をしてるから、同じ色のピアスにしたんだよ!」
そう言って笑っている姿が目を閉じればまるで昨日の事のように思い出せる。
自然と笑顔になる。
「A。ああA。愛しい愛しい吾輩の。」
散り積もる愛と深い悲しみが心を満たしていく。
彼女と共に自分も闇に堕ちようか。
そう思った時、
「やめるっす!!翠君!!!」
大声が聞こえた。
振り向くと、最初の犠牲者が……憐れだとは思わない。なぜなら彼は愛おしいAの所へ行けるのだから。
成す術などない。
彼の体は落下する。
何時から狂ったのか、次は誰か。
いや、もう全員が狂っている筈だ。
凛月も、薫君も、ワンコも、アドニス君も。
「くっくっく、Aよ見ているか?これがお前の望んだ世界か?なら面白い。この物語、最後まで見届けてからお主の所へ行くとするかのう。だから見ていておくれ。」
自然と唇は弧を描いていた。
翠の体が地面に叩きつけられるまであと1秒。
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作者名:あんすた大好き
作成日時:2015年11月24日 17時