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降谷さん、きっと疲れてたんだ。
いつもと変わりない凛とした佇まいをきっちり確認し、小さく息をつくと、降谷さんの指示を仰いでいた風見さんがふとこちらを向いて、無言でグッドサインを出してきた。
今度なにか奢ります、風見さん。
感謝の意を込めてグッドサインを返した。
すっかり安心して親の仇のごとくパソコンを打ち込みまくっていたら、いつの間にかお昼時になっていた。
チラホラと残っている人はいるが、私のデスクの周りには人がいない。
肩をボキボキ鳴らしながら解し、今日は余裕があるから食堂の方にでも行こうかなどと算段をつけていると、ぬうっと私のデスクに落ちる影。
「ところで今夜僕と一緒に行くレストランはまだ決めてないのか?」
「存在しない記憶で丸め込もうとするのやめてください」
気配なく現れた上司に一切表情を変えずに吐き捨てた。
背後を取られるのが嫌で椅子を回転させると、国宝級のイケメンが甘い笑みを浮かべて立っていた。
一周回って怖いんだが。
思わず立ち上がって5cmのパンプスを履いて尚、20cm以上の開きがある身長差にカワイイ系の顔に似合わぬ高身長を改めて実感しつつも、甘いマスクにそぐわずガッシリとした肩を掴んでガクガク前後に揺らした。
以前の鬼上司の降谷さん相手には死んでもできない。
なのに、降谷さんはガクガク揺られながら「ふふ、熱烈だなあAは。そんな所も興奮する」などとのたまった。
キモすぎて静かに五歩後ろに下がってソーシャルディスタンスを保った。
絶妙な距離から必死に訴えてみた。
「本当にどうしちゃったんですか。いつものこれ公大好き降谷さんに戻って下さいよ。いや戻られるのも普通に嫌ですけど、今の降谷さんはそれ以上にヤバいですよ。マジで」
「この前
「話聞けよ」
思わず立場も忘れてつっこんでしまった。
降谷さんは一切ガン無視して話を続ける。
もしかしたらおかしくなった原因が聞けるかもしれない。
私は黙って聞くことにした。
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エリンギ(プロフ) - おかずさん» コメントありがとうございます!ご愛読本当に感謝です! (2022年9月20日 20時) (レス) id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
おかず(プロフ) - 完結おめでとうございます!すっごく好きな作品だったので完結は寂しいですが、読み直したりしてまた楽しみたいと思います。素敵な作品をありがとうございました! (2022年9月20日 19時) (レス) @page48 id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - ぴょんぴょんさん» ご協力感謝します!お陰様で赤星になりました。 (2022年9月14日 22時) (レス) id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
ぴょんぴょん(プロフ) - すごい面白いです!こういうぶっ飛んだ降谷さんも大好きです!赤星ってどのくらいの投票でなるんでしょうかね。とりあえず周りの友達に宣伝してみます! (2022年9月14日 22時) (レス) id: 78f9c276ca (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - 猫モドキさん» ありがとうございます笑 (2022年9月9日 17時) (レス) id: f698343d68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エリンギ | 作成日時:2022年9月1日 10時