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ロミオとジュリエットの立ち位置になって、分かった。やっぱり私は、ジュリエットが嫌いだ。
自分勝手で、自分の想いに心酔して、自分の愛する人を殺したジュリエットが、嫌い。
でも、一番の理由はきっと……私と少し似ているから。
昔の私は好きな人に迷惑を掛けてばかりで、向こうの都合なんてお構い無しで。少し触ってくれただけで相手の気持ちを決めつけて、それで自己嫌悪になって。自分勝手にも程がある。
(でも、今は違う……よね?)
貴方との幸せな未来を夢見て、私は今前を向いている。
悲劇なんて辿りたくないから、私は今を苦しむの。
たまに視界に入る貴方の姿を見て胸が締め付けられたりすることもあるけれど。
誓ったから。“生徒と先生”という足枷が外れるまで、私達は距離を置くって。
……そして、その足枷がなくなった時……何にも囚われない、幸せな恋人になるって。
だからジュリエット、私は貴方にはならない。
最愛の人を殺す、愚かな人間にはならない。
「──さよなら、ジュリエット」
私は、自分の中のジュリエットに別れを告げた。
いつか幸せになれるその日を夢見て、私は今日も生きていく。
_____goodbye,Juliet_完
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