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「松本さん、シャツの袖ボタン取れてますよ！」
仕事中、後輩の女子社員にそう声を掛けられて自分の袖を見ると確かに取れかけてる。
最近忙しくてそんな事も気にしてられなかった。
「私が付けましょうか！？」
一応疑問形なんだけど、もう両手をこっちに差し出してる。
「ありがと、でも大丈夫」
「...そうですか...」
あからさまにガッカリした。
そんな顔されると申し訳ない。
「あー...ほら、付けて貰うならここでシャツ脱がなきゃダメじゃん？」
「あっ！そうですね！ごめんなさい！」
「さすがに裸にはなれないからさ、ごめんね？」
「はい、あの...また何かあったら何でも言って下さい！」
彼女は頭を下げるとふわふわの髪を靡かせながら、自分のデスクに戻った。
何となく溜息。
だって俺、自分でボタン付けられるしきっとあの子より上手い。裁縫歴何年になると思ってんの。
社会人になってから、ずーっとこんな感じだ。
必死で仕事してたら更に俺の「THE・男」感は増したらしい。
こないだなんてカフェオレ飲んでただけで「間違っちゃったんですか！？私ブラックなんで交換しますよ！」なんて言われた。
甘いものも好きだし、何ならクリームどっさり乗ってるやつだって好きだ。
「交換なんて間接キスになっちゃうじゃないですか」って笑って誤魔化したけど、その返しも失敗だったらしい。
俺は女慣れしてる系だって噂まで「THE・男」に上乗せされた。
自然体でいられる相手なんか、この先現れるのだろうか...。
そんな事を思いながら何気無く覗いた本屋。
「あ...可愛い」
そこには毎月買い続けるとドールハウスが完成するってゆー、所謂ムック本が並んでいた。
「わー、どうしよ」
本を手に取りボソっと呟くと隣に立ってた人が俺を見た気配がして、そっちに目線を送る。
「あ、やっぱ松本くん」
「あ。五十嵐」
「後ろ姿でそうかなー？と思って尾行して来た」
「尾行って、ちょっと怖いんだけど」
俺の言葉に隣でアハハーと笑ったのは、同期の五十嵐。
会社では部署が違ってあまり顔を合わせる事も無いけど、たまに社食で会うと一緒に飯食ったりする。
いつも髪をひとつに縛っていて、パンツスーツを着てる。
俺がキャラ物のボールペンを使ってる隣で「書きやすさが一番！」と老舗のペンを使って研修を受けてた。
「ドールハウス...」
彼女が俺の手元を見る。
「松本くんは相変わらず可愛い物が好きだね」
ニィっと笑った五十嵐が、俺の肩をグーで小突いた。
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めぐお(プロフ) - 久しぶりに読んだイロコイ。やっぱり大好きなお話です。残してくれてありがとうございます。 (2022年9月16日 16時) (
レス) @page47 id: 17cbbe6ec7 (このIDを非表示/違反報告)
莉依(プロフ) - 何度読んでも、やっぱりイロコイのお話は良い。大好き。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: c571097cf8 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 結城ちゃんがビール飲めるようになってることに感動です( ；∀；) (2018年8月24日 15時) (レス) id: f393ece0e8 (このIDを非表示/違反報告)
mama(プロフ) - やーっと読むことができました。先生の『行間を読みなさい』が久々に聞けてドキドキしちゃいました。それぞれの恋のはじまりが丁寧に伝わりました。もう、恋をする年齢ではないけれど、お話の中では恋をしていきたいな。レイさん、いつもありがとうございます。 (2018年8月14日 6時) (レス) id: dc084211e8 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - イロコイ…続きが拝読出来て感動♪それと大野さんの「ともちゃんが猫を拾ったあの時、おれは恋を拾った」に心臓がドキューンと殺られたｗｗｗ (2018年8月8日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年5月21日 18時
