おはよう、シンデレラ【そらる】

＊ ページ9

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彼女が最後に俺の家に来てから、ゆうに1ヶ月は過ぎた

初めて彼女を見掛けたあの日と比べると相当空気が冷え込んで、手がかじかむ




(…………元気かな)



そんな事を思うが、きっと元気では無いだろう

まだ、暴力を振るわれているのかな

─────会いたい



この1ヶ月以上の間、ずっと彼女の事ばかり考えていた

何をしていても頭に浮かんでくるのは彼女のあの満面の笑みと、痛々しい傷の跡

初めて出会った日の事だって、目を瞑れば今でも鮮明に思い出せる



きっと俺は、彼女の事が好きなんだろう




これを周りに言えば、“可哀想だから同情してるだけでしょ？”、“何時かは冷めるよ”そんな事を言われそうだけど、少なくとも俺は本気で彼女のことが好きだと思ってる

たしかに初めは同情の気持ちが大きかったし、あれが彼女じゃなくても俺は同じ事をしていたと思う

だけど、あの綺麗な満面の笑みは彼女にしか出来ない



そして俺はあの笑顔に惹かれたんだから、きっと彼女じゃなかったら恋になんて落ちていなかったから


好き、会いたい



そんな気持ちでいっぱいになっていた時、外からやけに音が聞こえてきたような気がして

耳を澄ませば、控えめな雨音が聞こえてきた



明日は予定あるんだけど、夜のうちに止むかな

そこまで考えて、俺はハッとした





(……A…………また、あの日みたいになってたら………)



この時期の雨は雪に変わるか変わらないか程に冷たい

そんな中、外に居たら……





「…………あぁもう、」


傘を2本持って飛び出した俺は、相当彼女に惚れ込んでる










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