11話 ページ11
緑髪の綺麗な女性は七峰 桜、チャラそうな男の人が日向 夏彦さん。そして、花子さんにそっくりな男の子はつかさと言い、花子さんの生前の弟だという。
「つかさ…さん?は私に助手になって欲しいって言ってたけど…何するつもりなんですか?」
「えーっとね、怪異の噂を変えたり面白そうな怪異が居たら連れてきて遊んだりしてる!」
「噂を変える!?あなた、私が源家の人間だってわかって言ってるの…!?」
「あは、Aのことは一通り調べたから知ってるに決まってるじゃん。虐めのことを家族に話せなくて辛いんだよね?」
「それは…、それは今関係ない!!怪異の噂を変えることがどれだけ重大なことなのかわかってる?」
お兄ちゃんが、光が必死に守ってるこの学園の平和を乱すなんて…許せない。
恐らく、数日前の物怪の『ようせいさん』の噂が暴走の原因だろう。
「でもさ、」
音もなくこちらに近寄ってきたつかさは、私の手を握って視線を合わせてきた。
「あんなに惨めに虐められて、痛いって言っても辛いって言っても誰も助けてくれない。気付いてくれない。自分の首に刃物を当てるくらい辛いんでしょ?助けて欲しいんでしょ?」
なんで、どうして。
先程と投げ飛ばしたはずの私の短刀で首に巻かれた包帯だけを器用に切った。落ちてきたガーゼには微かに血が滲んでいた。
ぺろり、と首の傷を舐めて妖しく微笑んだ。
触れた舌には温度はなく、他がなにかが這っているだけ。ピリピリとした痛みが首を中心に駆け巡る。
「このままでいいの?本当は恨んでるんでしょ?クラスの人達を。殺しちゃいたいんでしょ?それなら俺が手伝ってあげる。俺たちなら助けてあげられるよ」
「離して!!」
力の限りに突き飛ばすと、案外容易く彼は飛んで行った。壁にぶつかる前に桜さんが受け止めていた。
「私は殴られるのが、蹴られるのが辛いんじゃない…痛いのはたしかに嫌だけど…それ以上に、お兄ちゃんの妹だって言うことを否定されるのが悲しいだけ…」
お兄ちゃんの妹だから私は生きてくることが出来た。光とてぃあらのお姉ちゃんだから生きてくることが出来た。
「私はあなたの助手になるつもりは無い。私は源家の人間。学園に危害を及ぼすならそれ相応の処置を執る。
だから、もう関わらないで。」
つかさの手から短刀を奪取し、扉に向かって歩き出す。
「またね、A」
去り際、つかさの楽しげな声が聞こえたのはきっと気の所為。
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作者名:あめり | 作成日時:2020年1月18日 23時