KING【ars M.A】 (ページ27)

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んページ27

「誕生日...？」

抱き締められた胸の中で呟く。

「俺、今日誕生日」
「えぇっ！？」

ビックリして顔を上げたら、社長も私を見下ろしてた。

「誕生日なの、俺」
「そう...だったんですか」
「そうだったんです」

フッ、と笑った社長につられて私もフフッと笑う。

「あ、やっぱ笑ってる方が可愛いのかも」
「...えっ！？」
「いやでも泣いてるのもホント、可愛かったんだよなー。そそるってゆーか」
「そそっ...そそそそっ...！？」

アワアワなってる私を面白そうに見てた社長が

「好き」って信じられない位甘い声で囁いて

キスをした。

まるで、王子様みたいに。
おとぎ話みたいに。

やっぱりこの人は王子様なんだ...って、彼の背中にギュウっと抱き着きながら思う。

身体も全部融けてしまいそうな、甘くて深いキス。
彼の指が、髪に、耳に、首に触れる。

「Aちゃん」
「...はい」
「泊まって行ける？」
「......はい」

社長が私の髪を指で梳く。

「この部屋、ツインなんだけどさ」
「......」
「ベッド一個で良いよね」
「......あ...え、っと」
「フフッ、一緒に寝るだけだよ？」

やっぱり、ちょっと意地悪に笑って

「せっかく信じて貰えたのに、ここで一気にヤっちゃって引かれたらやだもん」

何か高校生みたいな表情。

「ちょっとづつ味わいたいしね！」
「味っ！？」
「Aちゃん、美味しそうだし」
「ちょ...何言ってるんですか！」

パコンと社長の胸を叩いたら、その手を掴まれて素早くキスされた。

美味しいのは、社長のキス。
もっと、もっと、と強請ってしまいたくなる位に。

・

翌朝、起きると隣に社長が寝ていて

小さくスースーと寝息を立てている。

一瞬、これは夢なのかもしれないなぁ...って自分のほっぺたを抓ってみた。

「...痛い」

あぁ、夢じゃ無い。
夢じゃ無いって、実感したくてまた抓る。痛い。

「...今時、ホントにほっぺ抓る子って居るんだね」

社長の目がゆるっと開いて、クスリと笑われた。

「あっ...起きてたんですか...」
「...んー」
「おはようございます」
「...おはよ、Aちゃん」

好きだと思ってた、一番可愛い寝起きの蕩けた笑顔。

今日、その笑顔は「好き」から「大好き」に変わった。