この花きれい-ホオズキ- ページ23
『ありがとうございました』
花束を手に明るい道を歩く
和也「母さんのすきな花持ってきたよ」
冷たい、石の前に花をそっと置いた
和也「なかなか会いに来れなくてゴメン
東京に異動になってさ」
ここに来たら死者とでも話せたらいいのに
なんて、無理な事を考えるのは
俺だけじゃないはず
和也「東京でさ、姉さんにも会えた。
それに彼女もできたし
これからも見守っててよ」
雲の上からだったら
どんなに遠くてもみえるでしょ？
「カズ…なんで」
幽霊を見るよりも衝撃的だった
どうしてAがここに…
和也「母さんの命日だから、墓参り」
「私は母方のおばあちゃんの…
命日ではないんだけど会いたくなって」
和也「俺も挨拶しにいっていい？」
「今行ってきたばっかりだし
…時間があるならデートしよ」
和也「そっ？
んじゃデートしますかどこ行きます？姫」
「カズとならどこでもいいよ」
和也「甘いね俺ら、バカップルだわ」
「そうだね」
和也「…どうした？泣きそうな顔してる」
「おばぁちゃんのお墓参り久々だから
いろいろ思い出しちゃって」
和也「だったら歩き回るより
東京戻ってお家デートしよ」
「そうだね」
気づけばよかった
母さんの墓をみて泣きそうな顔をしてる事を
きっとわかってたんだ
気づいた時、終わりを告げると。
和也「A？」
「…あ、ごめんなに」
和也「車下にあるからいこ」
「うん」
和也「花供えなかったの？」
「ここに来て気づいたの
おばぁちゃん百合や菊がすきじゃなくて
お墓や仏壇に飾らないでって言ってたの」
和也「ふーん」
「いつもはね向日葵とか買ってくんだけど
店員さんに頼んだんだけど
この花用意されちゃって」
和也「もらった時気づかなかった？」
「ちょっとぼーっとしてて
残業続きだったから」
和也「…まぁ花供えなくても
孫が会いに来るだけで嬉しいか」
「そうだといいけど」
和也「その花もったいないから
母さんにあげてもいい？
百合が好きなんだ」
「え？」
和也「失礼なことだとはわかってる
けど捨てるくらいなら」
「そうじゃなくていいの？」
和也「母さんは喜ぶよ」
じゃぁと言って花を供えたAは
手を合わせしばらくの間そこを離れなかった
-ホオズキ-
偽り、ごまかし (その他)
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作者名：和智 | 作成日時：2016年1月27日 0時
