思い通りには生きられない ページ16
「翔にあげるはずのチョコがね？
どっかに行っちゃったの」
ホワイトデーから数日
今日は久々のカズとお食事デート
和也「そのチョコってさゴールドのロゴの？」
「そうだけど…
なんでカズがしってるの？」
和也「言おうか迷ったんだけどさ
…佐藤カンナっていう派遣の子がすげぇ怖い顔してチョコの袋捨ててたってうちの部の奴に聞いた」
「…なんで佐藤さんが」
和也「櫻井さんのこと狙ってるらしくて
仲良くしてるAに嫉妬してんだって」
「てことは、嫌がらせ」
和也「そんなビビった顔しなくても
いくらなんでも大人なんだしさ
いじめみたいなことしないでしょ」
柴田さんみたいな真面目な人はいいけど
佐藤さんみたいに着飾って
ろくにパソコンもうてない爪をして
何の為に会社に来てるかわからない系
腰掛け派遣社員は1番怖い
将来有望な社員を捕まえて
結婚することしか頭にないんだもん
あー面倒くさいのが来たな…
「まぁちょっとは気をつけておく」
和也「気をつけるって？
櫻井さんとは会わないってこと」
「それは無理だよ
同じ部署だし腐れ縁だから」
和也「それが火種になってんでしょ？
もう少し気をつけてよ
彼氏の俺の方が心配するんだけど」
「ありがと」
和也「…心配はつきないなぁ」
「ん、なに」
和也「なんでもない、そろそろ帰るか」
あ、そういえば相葉くん
無事に着いたかなぁ
次の帰国予定は再来月って言ってたから
また日本に来たら飲みたいなー
和也「…A？」
「ん？」
なぜか立ってるカズが私を見下ろしてる
実態はつかめなくて
視界は二重にも三重にもなり
やがて暗く閉ざされていく
和也「A?…酔っ払った？」
「…んぅわかんなぁーい」
和也「完全酔ってんじゃん」
『いきなりで申し訳ありません
Aさんをお借りいたします』
聴覚だけはまだ機能してる
カズの文句が聞こえるけど
知らない人の声が名前らしき言葉を発したら
カズは無言で私の手を離していった
『Aさん、もう少し節度のある振る舞いをしていてくださらないと困ります』
この声聞いたことある
おもたーいまぶたをこじ開け
隙間から人物をとらえた
「……っん、モモちゃん？」
『久々に会いに来たら
このざまですか、私は悲しいです」
「ごめんなさい」
綺麗な顔をしてるのに
この鋭い目がワタシは昔から苦手
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作者名：和智 | 作成日時：2016年1月27日 0時
