Clear‐Crane‐Crime 7th【ars M.A】 (ページ33)

今日:14 hit、昨日:6 hit、合計:1,745,353 hit

243.にちようび。←11.21 ページ33

翌日、お昼ちょっと過ぎ。
一応雅紀くんちに行く前にLINEを送っておく。

『もう行っても大丈夫？』

既読がついたのは、送った直後。
でも、何の返信も無い。

多分LINEの着信音で起きてメッセージを確認して、そのまま二度寝。

って事は、まだ寝てる。

そのまま暫く、私はソファにお父さんと並んでTVを観て

お母さんに「デートにでも行きなさいよ」って言われて「だって雅紀くんまだ寝てるもん」って答えると「雅紀くん.....か...」と隣でお父さんが寂しそうに呟いた。

30分ほど経った頃、もう一度『今から行くね』とLINE。
今度は、既読の後に『ごめん、寝てた』って返事が来た。

きっと寝癖で頭のてっぺんの髪がピョコンって立ってるんだよ。
目もちゃんと開いてなくて、ほんの少しだけ不機嫌。

寝起きの雅紀くんは、ちょっとだけ面倒臭くて面白い。

多分、今頃シャワーを浴びてるだろうからあまり早く着きすぎないようにゆっくり歩いて雅紀くんちに向かう。
秋の風が気持ち良い。

相葉歯科は今日休診日だし普通は施錠されてるけど、私が来る時は雅紀くんが鍵を開けてくれてる。
彼が寝てる時はここが開かなくて電話しなきゃいけないんだけど...

「ちゃんと起きたかなー...？」

ドアを引くと、カチャと軽い音を立てて開いた。
良かった、起きてる。

病院の待合室に入って「雅紀くーん」と呼ぶと、2階から「上がっておいでー」って声。

「はーい」

階段を上がり雅紀くんの部屋に入ると、洗面所から出て来た彼とぶつかった。

「うわっ！」
「あっ、ごめんごめん！」
「アハッ、ビックリしたー」

俺もビックリした！って笑ってる雅紀くんは、眼鏡を掛けてる。

「あ、それ...」
「気付いた？」
「私のだ」

昨日、トイレで雅紀くんに外された眼鏡...
何か思い出しちゃって、急に恥ずかしい。

「この眼鏡、良いね」
「ホント？安物だよ？」
「そうなの？」

俺これ好きだなー、って眼鏡を指でキュッと上げる。

「じゃあ雅紀くんにあげる」
「え？」
「あっ...安物って言った後でアレだけども」

ちょっと自分の発言を後悔。
いや、安物なんだけど。

「フフッ、嬉しい。ありがと！」
「ううん」
「似合う？」
「すっごい似合う！」

私よりずっと似合ってる。
眼鏡も雅紀くんに掛けてもらえて、さぞ幸せだろうて。

洗面所の前で立ち話してた私達はリビングに移動して、そこで雅紀くんは

「ちょっと待っててね？」

そう言うと、そのまま寝室に入って行った。