Clear‐Crane‐Crime 4th【ars M.A】 (ページ12)

今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:1,815,605 hit

117.カウンター。ページ12

先生の言葉にビックリして、思わずカウンターの中に視線を送ってしまった。

洗い物の手がピタっと止まった増田くんが、口をポカーンと開けて先生を見てる。

大きな目をもうちょっとだけ大きく開いて私と目を合わせた潤さんは、「わお」って外人さんみたいに口パク。

言った本人は、そんなの気にもせずにフゥゥ...と肺の中の煙を全部吐き出し、灰皿に吸い殻を押し付けてる。

増田くんは、またすぐに洗い物に戻った。
潤さんも、微笑み私から目を逸らした。

「ニノなんて、いつの間にかAちゃんの事『でも子』なんて呼んでるし」
「あ...それは...」
「まぁ俺が喋っちゃったからいけないんだけどね」

罰ゲームのコト！って、先生が私のほっぺを両手でギュウって挟んだ。

「ウハハッ！タコみたい！」
「.......っ！」

恥ずかしい！
何か、色んな意味で恥ずかしい！！

先生の腕をパンパン叩いて、離して欲しい事を訴える。
恥ずかしくて目が開けられない。

大笑いしながら手を離した先生に「...『でも』って言ってないのに...」って言うと「ごめんね？」って、ニコニコ。

まだ先生の手の感触が残ってるほっぺたを擦りながら、先生から目を逸らすと

「...怒った？」

ちょっと不安そうな顔で、私の顔を覗き込む。

「...少し」
「うっそ、ごめんね？」
「......」
「ごめんー！ね？Aちゃん？」

本当は全然怒ってないけど。
何か、こーゆーやり取りって胸がソワソワして嬉しかったりする。

しかも何か先生可愛いし！なんて思ってたら、怒ってる顔を作ってたはずなのにニヤニヤしちゃって

もちろん先生にニヤニヤを見破られて「笑ってるじゃん！」って、肩で肩をグイって押された。

そんなのも、嬉しい。
何か、学生時代の恋みたい。

「ここで一杯飲んでく？」

潤さんが先生に訊く。

「うん、そうする。Aちゃんも付き合ってくれるでしょ？」
「え？」
「怒ってないのに怒ってるフリした罰ね！」
「...はい」

世の中にこんな有難い罰があって良いんだろうか。
罰がこれだったら、罪をおかす女子で溢れてしまう！

そんな馬鹿な事を考えながら、潤さんが「ここで飲むならこっちにしとけば」って出してくれた生ビールで先生と乾杯して

「やっぱ、生はたまんないね！」
「フフッ。口に泡ついてますよ」
「マジ？フフッ」

舌を出してペロっと口周りを舐めてる先生にウットリしてたら

「マサキー！」

先生の背中に、綺麗な女の人が抱き着いた。