8-15. 煌めく水面 ページ15
高らかなホイッスルの音で試合が始まった。
今のところ、フィールドに変化はない。剣城くんから輝くん、輝くんから神童先輩へとボールを繋いでいく。
「天馬、上がれ!」
神童先輩が天馬くんにパスを出した。ボールは吸い込まれるように天馬くんの足元へ__そう思われた。
天馬くんとボールの間に入り込み、颯爽とボールを奪って行ったのは新雲のキャプテン、雨宮太陽だ。
「戻れ! ディフェンス!」
「はい!」
狩屋くんが雨宮選手の目の前に立ち塞がった。
「ハンターズ__」
その時、雨宮選手の背後に、青いオーラが陽炎のように立ち上った。
「いきなり化身……!」
「戻るぞ!」
「う、うん!」
剣城くんと共に急いで自陣に戻る。
しかし、雨宮選手はもっと早かった。青いオーラは腕を、胴を、頭を形作る。そこに現れたのは、まばゆい光を放つ化身だ。
「太陽神アポロ!」
「な、__うわっ!」
素早いステップで狩屋くんが抜かれた。次いで霧野先輩をも華麗に通り抜け、彼はゴールへと真っ直ぐに向かっていく。
「行かせない! 魔神ペガサスアーク!」
そこへ飛び出したのは天馬くんだ。いつの間にかゴール前まで走り込んでいたらしい。
そんな天馬くんを見て、雨宮選手は挑戦的な笑みを見せた。
「僕は嬉しいよ。またこうして天馬と戦えるなんて!」
「俺もだよ、太陽!」
「松風と雨宮、ゴール前で激しいボールの奪い合い!」
二人の化身がぶつかり合った。その衝撃波がフィールドに広がって、踏ん張っていないと後ろに押されてしまう。
一歩も引かぬ攻防が続いている。すると、突如スタジアムのどこからか、「ガコン!」という音がして、スタジアムが揺れた。何事かと辺りを見回していると、神童先輩が天馬くんに向かって叫んだ。
「フィールドが沈むぞ!」
私は天馬くんと雨宮選手の足元に目をやった。二人の境目、天馬くんの立っている場所と雨宮選手の立っている場所に高低差ができている。__天馬くんが一段低くなっている。
「うわわっ!」
「天馬!」
天馬くんは慌ててその場を離れた。ゴール前のフィールドが沈み、フィールドプレイヤーとゴールキーパー__信助くんが切り離される。ボールはぷかぷかと水面に浮いている。
「これがウォーターワールドスタジアムの仕掛け……」
93人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春間(プロフ) - 爈久さん» 初めまして。コメントありがとうございます! 嬉しいお言葉をありがとうございます。今後も楽しんでいただけるようがんばります! (2021年2月7日 18時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
爈久 - はじめまして!初めてのコメント失礼します。1話1話の話の展開がオリジナルで書かれていらっしゃるので、大変読み応えがあり ホールケーキ1個分食べた満足感があります。笑 更新の通知を楽しみにしています。 (2021年2月7日 3時) (レス) id: 49ee71ecf2 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - こころさん» コメントありがとうございます。励みになります! (2021年1月25日 14時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 面白かったです 続き楽しみにしてます更新頑張ってください (2021年1月25日 1時) (レス) id: eb962bcdd2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春間 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時:2020年11月1日 14時