検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:19,932 hit

4-9.どっちつかずの覚悟 ページ9

「これじゃあ、試合では使えないわね……」

 そう言ったきり、如月さんは考え込んでしまった。
 私もただ立ち尽くす。



 如月さんの指導のもとで、私のシュートは幾分か上達したように思う。だが必殺技となると、これがもう、てんでできない。
 まず蹴り上げる時の力加減がわからず、シュートを打つ位置が一定ではない。
 その上ボールの高さまで飛び上がるほどのジャンプ力がない。しかし『すいせいシュート』を打つにはそれなりの高さが必要なのだと如月さんは言った。


 少し気を抜くと、やっぱり自分にはできないのだろうか、という考えで頭がいっぱいになってしまう。ともすると、すべてを投げ出してしまいたいと思うこともあった。
 逃げ出したくなる衝動を抑えながら、私はボールを蹴っていた。





.





「安定してきたな」
「ほ、本当ですか……?」
「ああ」

 如月さんとの練習の成果が出ているのだろう。部活の方では、倉間先輩にノーマルシュートの精度が上がってきていると言ってもらえるようになった。

「次の試合、やれそうか?」

 いつになく真剣な顔で倉間先輩に尋ねられ、言葉に詰まる。頷けるほどの自信はない。

「……やるしかないと、思ってます」

 問いからわずかにずれた私の返答に、倉間先輩は目を伏せて「そうか」と呟いた。





 練習を続けていると、大きな引き戸を開けるような重い音が、かすかに聞こえた。サッカー棟の部屋の扉は自動ドアか開き戸だ。
 何事かと思って耳をすますと、また同じような音が聞こえた後に、ざあっと天井を水の粒が叩く。


「雨……?」



 音無先生がスタジアムにやってきて、これから雨が酷くなるため、今日の練習はここで切り上げて下校するよう私たちに促した。

4-10.雨の中→←4-8.泥だらけ、土まみれ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (73 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
45人がお気に入り
設定タグ:イナズマイレブン , イナズマイレブンGO , イナイレ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

春間(プロフ) - 桜星。さん» コメントありがとうございます! 助かります……! (2021年2月25日 14時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
桜星。 - 4-3「怯え」の三行目、天馬のセリフが「次の試合こと」になっていますが、恐らく「次の試合のこと」ではないでしょうか。 (2021年2月25日 13時) (レス) id: 15148237ac (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - なすびさん» ありがとうございます! 楽しみにしてくださってとても嬉しいです。頑張ります!! (2020年8月26日 18時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
なすび(プロフ) - 続編おめでとうございます!剣城くん抜きで試合がどうなるか楽しみです! (2020年8月26日 16時) (レス) id: c22c2e84dc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:春真 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/april_hrm  
作成日時:2020年8月26日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。