青天の霹靂４【イナGO】

4-4.浮き彫りになる実力 ページ4

スタメンが発表されてから、よく眠れない日が続いていた。早く眠らなければと思うほど目が冴えて、結局夜遅くまで眠れない。そのせいで朝もなかなか起き上がることができない。

　それは私に不登校だった頃の、昼夜が逆転した生活を思い出させた。
　昼間はひたすら寝て、日が沈んだ頃にようやく起きる。同じ本を読み返し、通販番組ばかりのテレビを見たり、ネットサーフィンをしたり＿＿毎日同じことの繰り返しで気が狂いそうだった。

　朝起きられなくなって、また学校に行けなくなるのではないか。そういった不安のせいで余計に寝つきが悪くなる。
　そして寝不足のまま学校に行って、授業にも部活にも集中できない。そんな毎日が続いていた。


　このままではいけないとわかっている。だが、私ではなく輝くんや後輩、錦先輩がＦＷとして入る方がチームにとっては得策だということは紛れもない事実だ。きっと他の部員たちもそう思っている。





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　その日の練習では紅白戦を行うことになった。

　初めてＦＷとしてフィールドに立つ。自分の前に誰も味方がいないこと、相手選手と真っ向から向き合うことが怖かった。ＭＦの位置にいるよりもずっと孤独だ。

「A、シュートぜよ！」

　錦先輩からパスを受け取りシュートを打つも、ゴールから大きく逸れてしまった。





「もう一回だ！」
「A、打て！」
「A、きめるんだ！」

　みんなが気を遣ってボールを回してくれているのがわかる。それがプレッシャーになっているのか、寝不足のせいもあるのか、その日はシュートと呼べるシュートは打てなかった。


　何度打っても、できなかった。

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