青天の霹靂【イナGO】

1-13.二者択一 ページ13

翌日。無限にも思えた四限目の授業を終え、私と葵ちゃん、松風くん、剣城くんは集まってお昼ご飯を広げた。

「そういえば、結局Aちゃんはマネージャーと選手どっちで入部するの？」
「えっ」
「え？」
　葵ちゃんから私への問いかけのはずだが、何故か松風くんが反応した。

「俺、てっきりAさんは選手で入部するものだと……」

　剣城くんもそうだったらしく、少し驚いた顔をしている。

「選手だと入部テストがあるよね？」
「うん」

　雷門中はサッカーの名門校だけあって、入部届を出すだけでは選手として入部できない。入部テストに合格した者だけが、ユニフォームを着る資格を得る。

「去年は天馬と信助の二人だけだったよね。合格したの」
「やっぱり厳しいんだ」
「うーん、俺にも基準がよくわからなくて。今年はどうなるかなあ」
「そもそも入部希望者が去年よりかなり多いだろ」
「マネージャー希望の子も沢山来てたからねー」

　正直なところ、私は昨日からずっと迷っていた。
　選手にならないとわからないことは、円堂さんが言っていたようにきっとまだ沢山ある。それは選手としてサッカーを続ければいずれわかるかもしれない。また、当初はマネージャーとして入部するつもりだったが、以前のような発言をしてしまうかもしれないという恐れは少なからずあった。

　問題は入部テストである。

　剣城くんが言っていたように、入部希望者はかなり多い。きっと経験者もたくさんいるだろう。加えて私は二年生での入部になる上、引きこもっている間はほとんど運動をしていなかった。

「受かる気がしない……」

　ぽつりとこぼした言葉に、松風くんが突然身を乗り出した。その拍子に机が揺れ、落ちそうになった紙パックの緑茶を剣城くんが咄嗟にキャッチする。

「選手希望なんだね？」
「あっ、ええと……」

　きらきらした視線が私に降り注ぐ。
　返答に困っていると、葵ちゃんが「こらこら」と松風くんに座るよう促した。

「……でもね、実は私もAちゃんは選手がいいんじゃないかなって思ったの」
「え？」
「昨日のAちゃん、すごく楽しそうだったから」

「私、楽しそうだった……？」

　葵ちゃんに尋ねると、彼女は一瞬不思議そうな顔をしてから笑顔になって頷く。剣城くんと松風くんのほうを見ると、二人も同様に頷いた。

「受けてみてもいいんじゃないか。入部テスト」

　剣城くんの言葉に私が「そうする」と返すと、松風くんが嬉しそうに笑った。

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