失礼、その子俺の。【及川徹】 (ページ2)

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お誘いです。ページ2

「【きっかけは道端で襲われそうになった時でした】ってか？アホ。んな悪趣味な」
「や、でもほんとですって」
　ぐい、と身を乗り出した私に、親友の東雲絢ちゃんは細い眉を顰める。
「いや、わかったわかった。私は、嘘かほんまかを問うてんちゃうねん」
　ちなみに絢ちゃんは関西出身で、すごいツッコミ上手だ。
「まあ、･･････別に私は？興味ないですけど？ぜんっぜん興味ないですけど？」
「それさぁー、逆に興味あるってことになるんじゃない？」
「ゲッ」
(あ)
　絢ちゃんがこの反応を示す人は、この学校内では1人だけ。
「及川くん？」
　と、岩泉くんもいた。
「Aちゃんっこの女どうにかしてよー」
「チックソ野郎」
　岩泉くんが、及川くんに岩ちゃんさん制裁を落とす。
　涙目で「やんごとなき俺の頭脳と顔面が痛むでしょ！」と訴える及川くん。
　ふ、と笑ってしまう。
「もーAちゃん笑うな」
「すっすみませっすっ」
「リズムええな、岩泉、これ今現国の課題で詩ぃ出てるやろ、題材これにしたらー？」
「しねぇよ」
　絢ちゃんと岩泉くんの会話の方が、よほどリズムいいと思うんだけどなあ。どっちもツッコミ上手だし。アンタッチャブ●みたい。
「あっ！そーだAちゃん、これ言おうと思ってたのに！」
　突然及川くんが私の名前を出すから、飲んでたお茶を吹き出しそうになった。
「バレー部の試合、今度観にこない！？」
「勢いが猪」
「それな」
　え、直々にお誘い？
「明日、練習試合するから、観に来て欲しいなって思って」
「気持ち悪い」
「クソ川」
「いいねお前らナイス度胸だよ！」
　そう言いつつも何もしない及川くん。
「行っていいんですか？」
「え来て欲しいんだけど。こっちが」
　こっちが、を強調されて、しどろもどろになる。
　及川くんて、もうちょいドライな感じだった、と思うんだけど。
　や、気のせいじゃなくて、人気者が平等にみんなにキラキラを振りまいているような感じだったはず？
　あー、考えるのめんどくさくなってきた。
「じゃあ、行きますね！絢ちゃんも、行きましょ？」
「えー･･････まあいいけど･･････」
「やったー」
　ガッツポーズをする私を見て、及川くんがうずくまった。
「え！？大丈夫ですか･･････！？」
「かわいいやばい」
　え、と目を瞬いていると、いつのまにか岩泉くんが及川くんにプロレス技をかけていた。
　･･････岩泉くん、それどこで覚えてるんだろう。気になる。