通訳ヌナと…【Jungkook】

特別 -Jungkook- ページ46

どこかそう思ってたんだと思う。
そう信じてたんだと思う。

僕にとってAさんが特別なように、
Aさんにとって僕も特別なんだろうって…

同じ気持ちじゃなくても、
僕のことを弟のように見てたとしても、
それでも特別なら良かった。

本当に良かったんだ。



5月。
MVの撮影を終え宿舎に戻る前に、
Aさんが働く食堂で食事をすることになった。

ほぼ徹夜状態で撮影したMV。
初めてのことなのもあり、
すごく疲れて死にそうに眠かったけど、
会えるかも？と思うと、
眠気は覚め、
早く着かないかな？って…
寝ているヒョン達を横に、
一人ずっと窓の外を眺めてた。

いるかな？
どうかな？

大学生になったAさん。
こないだ会ったのが３月末だから…
1ヶ月半ぶり？

ドキドキしながら食堂に行くと…

いた！

いつもと同じように黄緑のエプロンをして、
グレーのTシャツに黒のスキニーパンツを履いているAさん！

けど、あれ？
服装はいつもと変わりなくても、
顔の雰囲気が…

ちょっとお化粧してるのかな？
目元が少しハッキリとして、
唇もちょっと赤味があって…

お化粧をしたことで、
更に大人っぽくなったAさん。

久しぶりなだけでも嬉しいのに、
どこ見ていいかわからず、
目線は泳ぎっぱなしだった。

ほら僕は…
やっぱり見てるだけでも充分なんだよ。

ヒョン達がいる手前、
話したいことはたくさんあっても
喋りかけることはできないけど…

ほらまた…

身体の中からグワーッて…
エネルギーが充電されていくのがわかる。

これでまた明日からも頑張れる！



そう思った時だった。

料理を全て運び終えたAさんが、

「あの…皆さんにお話することがあって。私、まだハッキリと時期は決まってないんですが、夏でここのバイトを辞めることになったんです。皆さんにはすごくお世話になって…………」

声が聞こえない。
頭がクラクラする。
頭が冷や汗をかいたように冷たい。

辞める？
ここを？
夏？

そんな大事なことを…

なんでここで言うの？

なんで今言うの？

ヒョン達がいるから僕何も言えないのに…
できないのに…

なんで僕までその他大勢の一人のように、
そんな大事なことを聞かされなきゃいけないの？

やっぱり違うんだ。

Aさんにとって僕は特別じゃないんだ。

ヒョン達と一緒なんだ。
ヒョン達と変わらないんだ。

自分が崩れ落ちる感覚。

自分が自分じゃないようで、
何もなくなった感覚。


胸が痛くて潰れそう…

タオル -Jungkook-→←ケチ -Jungkook-

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