通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

指 -You- ページ38

ドキドキしながら伸ばした手。
ユンギさんの指に触れ、
人差し指と中指をそっと…
本当にそっと…指を曲げ、掴んだ。

ユンギさんはビクッと反応することもなく、
払いのけたり、
何かを言うこともなく、
掴んだままにしてくれた。

それがすごく嬉しくて。

嬉しさと恥ずかしさ。

思わず緩んでしまった口元。

でも本当に…

本当に嘘じゃなく、
指先に触れるだけ…

本当に私はこれで充分なんだよ？

けど、ユンギさんにそう告げるも、
私の言い方が悪いからか、
上手く伝わらなかった。

でも、
どこにも連れて行けないって、
二人でどこかに行こうなんて、
バレたらどんなことになるか…
そんなの恐ろしくて、願うことさえできないのに。

誕生日や記念日。
そんなの、その日にコンサートや番組収録が入ってれば、会えないのなんて当然なのに。

何よりも。

まだそんな先のこと、
本当に思えないほど…

ただ私は、
目の前のユンギさんで精一杯なのに。

どう言ったら上手く伝わるのか…
考えながら、事細かに口にしたら、
つい…興奮して、
強い口調になってしまった。

なので一呼吸置き、
指をちょっと動かして…
ユンギさんの指に触れていることを再確認し、
また話を続けた。


どうやったら伝わるのだろうか。
本当に私は、
ユンギさんが私を好きだと言ってくれた…
それで充分なんだよ？

明日からまた目が合ったり、
笑ってくれたり、
特別じゃなく、普通の話を普通にできたり、
そしてたまに…
作業室や廊下の時のように二人きりになれたり、
その時のちょっと特別な空気とか、
こうやって少し触れさせてもらえたり、
Aを呼んでくれたり…

本当に本当に。
それで本当に充分なの。


ユンギさん達に迷惑をかけることはしたくない。
そして、ユンギさんのお仕事の邪魔もしたくない。

何も望まないし、
迷惑かけることはしないから。

ちゃんと約束して、
絶対に守るから…

だから、
そばにいさせて欲しい。

何も望まない。

ユンギさんが、
想ってくれるだけでいい。

本当にそれだけでいいから…


この指を離したくない。
明日は無理でも、
一週間後でも、一ヶ月後でも、
またこうやってユンギさんに触れたい。

そう思うと、
自然と指を掴む手に力が入って…


でも次の瞬間。

パッ、と。
思いっきりユンギさんの手が離れた。

え？…と。

一瞬不安になったけど、
その次の瞬間…

またあの…
部屋のドアが開いた時のように、
いきなり身体が大きく動いて…

返事 -You-→←俺のもの -Yoongi-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す