通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

二人 -Yoongi- ページ17

視線の先にいるジョングクとA。

ジョングクが近づいてAと俺の間に立ち、
一瞬、ジョングクの背中にAが隠れ、
見えなくなったけど…

すぐに横にずれ、
二人の横顔が見えるようになった。

俺よりはるかに背の高いジョングク。
見上げるAもいつもより上を向いている。

何の話をしてるのか、
ここからじゃ話し声は聞こえない。

けど、二人の表情は見える。

なぜか申し訳なさそうな顔をしたり、
かと思えば顔をパッと上げ、
まるで『あ！』とでも言ってるかのように
驚いた表情になったり。


そしてジョングクが持っていたビニール袋を
Aに渡すと…

Aの顔が柔らかくほころび、
嬉しげな笑みを浮かべた。

Aだけじゃなくジョングクもそうで、
目尻にシワを寄せた
あの甘い笑顔をAだけに向けている。

楽しそうな二人…

そう思った時、
何があったのか急に…

前に作業室でAをからかった時に見た、
ちょっと怒ったような…
怒るっていうか、
可愛く不貞腐れてるようなあの顔…

あの顔を…ジョングクに見せた。



なんだろ…

さっきから声は聞こえなくとも、
いろいろな表情をジョングクに見せるA。

なんていうか…

いろいろなAを知ってんのは、
俺だけだと思ってたというか…

可愛く怒るあの顔とか、
俺だけが知ってるもんだと思ってたのに…


ジョングクもジョングクで、
俺と違ってスタッフにも普段から愛想良いけど、
そういうんじゃなく、
Aのことを好いてるってのが見てわかる。

スタッフとして話してるんじゃなく、
好いてる一人の人間に話してるのがわかる。


ジョングクはAに何を言ってるのか…

急になんともいえない表情を浮かべたA。

驚いているような、
困ってるような、
泣きそうなような、
何かを訴えるような…

ただ…

見ていると胸が苦しくなって、
思わず駆け寄りたくなるような…


周りは騒ついてて、
多分俺以外の誰もあの二人のことは見てない。

話してたとしても別におかしくはないし、
みんな気にも止めてない。

ただ俺だけは…

二人から、
一瞬も目を離すことができない。


あぁ…胸が痛い…


さっきまであんな表情だったくせに、
今度はまた笑顔になって。

慌てたり、
また可愛く怒ったり、
かと思えば顔に手を当てたり扇いだり。


なんの話をしてんの？

気になって気になって仕方ない。


ジョングク…
なんでそんな目でAを見つめんの？

本当にお前…Aのこと…

ジョングク -Yoongi-→←作者より

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