JIYONG -2-

場違い -You- ページ15

見上げたマンション。
大きくて、煌びやかで、
完全に私が来れる場所ではないことは明らかで、
警備員さんが立つエントランスに入るのが怖くてたまらない。

教えてもらったエントランスの扉の解除方法と番号。

手の平にあるそのメモをギュッと握りしめた。

一歩一歩進むたび、
ヒールの音がコツコツと響く。

眩しいほどの明るいエントラスと、
怖そうな警備員さん。

ペコッとお辞儀をすると、震えそうな手で番号を押した。

どうか間違いなく、早く解除されて！
どうか話しかけられませんように！

祈りながらボタンを押し、
エントランスの扉が解除された時、
本当に声が出そうなほど安堵した。

高い天井。
オシャレなソファーやテーブル。

まるでホテルみたい。

すれ違った何人かの人に挨拶をするたび、
ここに住めるこの人達は、ジヨンさんと同じくらいすごい人なんだ！と思い…
そうではない私のことを見透かされてるのではないかと不安になった。

エレベーターの解除方法。

どこまで厳重なマンションなのか。

そして、ジヨンさんの家がある階へ。

エレベーターを降り、
どっちだろ？と、迷ったのは一瞬だった。

こんなに大きなマンションなのに、
この階にある部屋はたった３つ！

どうしてそうなるのか！

こんな所に来てしまい、
捕まるんじゃないだろうか？
罠なんじゃないだろうか？

失礼だけど、ジヨンさんを疑ってしまうほど、
もう全てが何もかも怖くて。

ジヨンさんの家があるドアの前に震える足で立ち、
教えてもらった方法と番号で解除……
は、出来なかった。

解除して、さっと入ってきて！と言われていたけど、さすがに出来なくて、エレベーターの前まで戻り、電話を掛けた。

すると、右耳にはコール音が。
そして左耳から聞こえたのは、ドアがガチャッと開く音だった。

慌ててそっちの方を振り向くと、
ドアの隙間から見えたのはマスクをしたジヨンさん。

「入って」

そう言って、ドアを手で押さえたまま、隙間から顔は見えなくなって。

その隙間も、ドアが閉まるまで、あと数センチ位のわずかな隙間で。

急いでドアに駆け寄って、その隙間に手を入れ、
戸惑いながらも中に入ったものの…

身体が固まってしまい、
上手く息も吸えないほど、
とにかく…驚いてしまった。

想像を絶する光景。
どこを見ればいいかわからず、
目線が定まらず、結果、キョロキョロとしてしまった。

「どうぞ」

なんて言われたけど、
気持ちも身体ももう、いっぱいいっぱい。

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