近すぎて【衣更真緒】 (ページ37)

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『ねぇ北斗くん。

屋上行かない？』

私は隣を歩く北斗くんを誘い、屋上へ行こうとした

｢だが、授業はもう始まっている。

申し訳ないが俺は戻るぞ｣

『そっか…
でも私、真緒と会ったら授業に集中もできないや

今の授業が終わるまで私は屋上に居るね？』

｢サボりか？｣

『サボり…まあ、そうなるね。

やっぱダメかな？』

これはサボりだ。北斗くんは戻ろうとするけど

私は戻る気がない

戻りたくなかった

｢冗談だ。先生には伝えておくから休むといい。

早く衣更と仲直りしてもらいたいからな。

Tricksterのこれからにも
お前と衣更は必要だ。｣

北斗くんはそう言ってくれた

誠矢さん、氷鷹先生も北斗くんも優しい

『ありがとう北斗くん』

私たちはそう話して別れた

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

IN屋上

『真緒…どうしたらいい？』

授業が終わった時に話しかけて謝る？

クラスのみんなに注目されるよね…

私はどうしたらいいか悩みながら

屋上の柵に寄りかかってグラウンドを眺めていた

パシッ＿＿＿

誰かに後ろから手を掴まれた

｢何も、死ぬ必要はないだろ…｣

そう、震えた声で言ってきたのは

『真緒…？』

私の手を包む真緒の片手は

冷たくて、震えていた

｢俺、無意識に酷いこと言ったと思うけど、

死ぬのだけは…やめてくれ…｣

『急にどうしたの？

真緒すごい震えてるし、手は冷たい。
私の所為だよね…ごめんなさい』

絶対私の所為だ

｢俺こそ無意識にごめんな…

俺を嫌いになったとしても、Aが死ぬのだけは俺耐えられないぞ…｣

『え、私が嫌われたと思ってた…

北斗くんと零くん、誠矢さんが相談に乗ってくれたんだ』

その3人が居なかったら、私はずっと今も悩んでる

｢嫌うわけないだろ…！

そっか、悩みが少しでも晴れたなら良かった｣

『うん。私、死ぬ気は無いよ…？

その人の為なら世界を滅ぼしてもいいくらい

大切な人が居ることに気づけた。

私は、その人が好きなんだと思う…

だからね、真緒＿＿＿』

私は言葉を飲み込んだ

こんな迷惑かけておいて告白なんて図々しい

のではないか

今しか言えない気もするけれど

今まで私に真緒が好きと言ってくれていたから

安心感もあり、私は告白ができる

でも真緒はもうそんなことを望んでいないのかもしれない