近すぎて【衣更真緒】 (ページ36)

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｢私も昔はあなたみたいな時期がありました。

皆が進み、ときには転んでいる人もいる

そんなことが私の目の前で起こることもありました。

先が見えない私の人生で、1つの光がさしたのです。

1人の女神さま、そうです。私の妻でありほっちゃんのお母さんですよ。

彼女が現れたとき、私の世界は色付きました。｣

氷鷹先生の奥さんで、北斗くんのお母さん

って、あの女優さんだよね？

『私はまだ、先が見えない暗い道を歩いていて

氷鷹先生にとっての女神様、
奥さんのような存在が

私の前にも現れてくれるかもしれない

ということですか？』

｢つまりはそういうことです。

ですが、それはもう出会っているのかもしれませんよ？

私は妻の為になら、家族の為になら、世界だって壊します。
それほど大切だからです。

貴方にもそのように思える方は居るのでは？

きっと、その人が光になってくれますよ｣

光になってくれる…

真緒は大切だ、世界中が真緒を嫌っても

真緒が私を嫌っても

私はずっと味方でいるよ

世界だって壊せるくらいの覚悟はあるけど

そんな力は私には無いかな？

その覚悟は、好きな人って意味もあるけど

幼なじみとして過ごしてきた時間もあるから

｢それと、先生として助言をしてあげましょう。

沢山悩んで良いのですよ。

アイドルもプロデューサーも、女優に教師も
全ての職業に魅力があります。

そんな魅力に気づけたら、どの道に進もうか悩まずにはいられません。

だから、沢山悩んで決めなさい。

そして、貴方の長所はそのような｢魅力を見つけること｣だと僕は思いますよ。

悩んでるのなら、自分には分からない長所なども
聞き、参考にするのも良いですよ｣

氷鷹先生…！

優しいとかは言われたことがあるけれど

“魅力を見つけること”なんて初めて言われた

私にはそんな長所があったんだ…

『先生、ありがとうございます。

お陰で自分の気持ちがわかった気がします』

自分の長所が魅力を見つけることならば、やっぱり

あの職業しかないと思う

一番生かせるのはソレだ

｢それは良かったです｣

｢まさか、父さんの惚気話が
役に立つ日が来るとはな…

まあ、それでAの悩みが解消されるのなら＿＿＿｣

惚気話…？

今のって惚気話なの？

『北斗くん。

今の話って惚気話だったの？』

｢嗚呼、俺も前に聞かされたことがあってな…｣