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黄side
「え、ちょ、やばい！しげとのんちゃんこっちに来る言うてるんやけど！」
「はは、行動早いなー」
「笑い事ちゃうがな！」
のんびりと笑っている濱ちゃんにそうツッコむとまた笑い出す。負の連鎖だ。俺がため息を吐くと濱ちゃんが苦笑いをして口を開いた。
「そない会いたくないんやったら今日は連絡入れなきゃよかったやん」
「そうやけど…」
連絡を入れる前に濱ちゃんに止められたのは事実だ。それでも連絡を入れたのは。
「のんちゃんに悪いやん…？」
そう言うと濱ちゃんはバカにしたように鼻で笑う。
「淳太が気になっとるんは望やなくてしげちゃんやろ」
「そんなわけっ…」
否定しようとしたが何故か躊躇ってしまう。そんな俺に気付いたのか濱ちゃんは俺から目を逸らす。
「やって…淳太。気づいとるやろ」
「…なにを？」
「望のこと」
自分の全身の力が抜けていくのを感じて背もたれにもたれかかった。
「まあ…気付かへんわけないよな…」
のんちゃんがしげのことを好きだってことは。
「俺ほんまはさ望の恋を応援してやりたいねん」
「分かるで…」
大切な弟みたいな存在の人が悲しんでる姿なんか見たくない。それは俺だってそうなのだ。
「どうするんが正解なんやろうな」
俺はそう言って項垂れる。自分の感情もコントロール出来ていないのに、しげの恋愛ものんちゃんの恋愛も応援することは出来るのか。
「え、ちょ、淳太泣いとるん！？」
「泣いてへんし、うるさい」
今この状態で2人に出会って俺はどんな態度をとってしまうのだろうか。そう思うと怖くて仕方ない。
「…じゃあ、淳太に2択やるわ」
「…へ？」
濱ちゃんが突拍子のないことを言うので思わず顔を上げると意気地無しの兄を見守るような弟の顔をしていた。
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作者名：年長さん | 作成日時：2023年3月25日 1時
