シャッターチャンス(赤×黄) (ページ14)

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黄side

「淳太」

収録が終わり次の仕事に行くために帰り支度をしているとのんちゃんが後ろから声をかけてきた。

「なに？」

今日は様子のおかしいのんちゃんに優しく聞き返すと不安げな瞳が俺を捉える。

「今度ご飯行かへん？」

多分相談したいであろう雰囲気を醸し出すのんちゃんに俺は何故か違う日ではダメだと思った。

「…今日の夜はどう？」
「え、ええの？今日最後の仕事大阪やなかったっけ？」

のんちゃんの言う通り今日の最後の仕事は大阪だった。けれど。

「そんな夜遅ないし明日は朝からこっちやから終わったらすぐ帰ってくるよ」

そんな弱々しく俺を見る末っ子を置いて行けるわけがなかった。

「ありがとう」
「ええよ。じゃあ、こっち戻ったら連絡するな」
「おん」

そう挨拶を交わして楽屋を出る。
大阪に向かう新幹線に乗ってスマホを弄っているとふと今日の神ちゃんの言葉を思い出した。

「告白か…」

一体何を持ってそろそろなのか俺には分からなかった。
しげは本当にいいやつだと思う。ウザ絡みは酷いし5歳児なところもあるけれど。男気があるのは事実で、いい旦那さんになるのだろうとは思うのだ。そして。

「いいお父さんにも…な…」

一度は夢見た。しげの隣に立って歩いている自分を。
けれどそれはあまりにも滑稽だった。

俺はしげの隣に似合わない。現実逃避をするように俺はスマホを閉じて目を瞑った。