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黄side

仕事が終わり新幹線で東京に帰る。乗った時に今日夜ご飯を食べる相手に電話をかけた。

「もしもし。のんちゃん?」
「ん、淳太?」

眠そうな声にまだまだ子供だと笑みが零れる。

「今新幹線に乗ったから着いたら連絡するな」
「おん…」
「せやから、ちゃんと準備しといてな」

そう伝えるとのんちゃんの息を飲む音が聞こえてきた。

「おん。待っとる」

のんちゃんはそう言うと電話を切った。俺は切られたスマホを見て不思に思う。普段は俺が切るまで待つのにと。

「…」

眠そうな訳ではなくて泣いてたのか…?
けれど、これは憶測にしか過ぎない。俺はその予想を頭の片隅に追いやってアプリを開いた。

「え…」

アプリを開いたことによって後悔したのは初めてだ。目に飛び込んできたのは''熱愛''の2文字で。

「しげ…」

そこには想い人でもあるメンバーの白黒写真もわざわざ一緒に載っていた。

胸が押しつぶされたように痛い。
なんで、今まで1度も撮られたことなどなかったでは無いか。なんで、大切なこの時期に撮られているんだ。

「なんで…」

お前はこんなにも楽しそうなんだ。
目を逸らしたいのに好きになった俺への戒めだと言わんばかりに身体が動かない。時が止まったなんて比喩表現、こんな最悪な時にも使えるのだとどこか他人目線で考えている自分もいた。

「…なにこんなショック受けとんねん」

俺は自嘲する。分かりきっていたことでは無いか。すると重苦しいこの空間に似つかわしい軽快な音が突然鳴り響いた。

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作者名:年長さん | 作成日時:2023年3月25日 1時

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