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桃side
コンビニに行く途中。言い出しっぺの癖に後ろの方をゆっくり歩いている流星に近寄る。
「しげと淳太をふたりきりにさせる口実やったやろ」
俺が耳元でそう囁けば流星は隠す様子もせずに頷いた。
「しげが2人で話したいことある言うたからしゃーなしに」
しげからのお願いか。流星は中立の立場を保っている。そんなこと分かっている。
「…楽屋戻ったらさ、付き合っとると思う?」
何気なしに聞いたら流星はうーんと唸り声を出した。
「いや、ないな。淳太は頑固やし、しげは意気地無しやから逆に悪い空気なってそう」
「最悪の推理やな」
あながち当たっていそうな推理を披露する流星に対してため息を吐く。
「…で、付き合っとったらなんなん?」
「え?」
突然の発言に足が止まった。
「応援する言うてたやん。付き合ったら応援したかいあるんやない?」
流星はたまに痛いところをついてくる。
「あー…。やけど、辛いもんは辛いねん…」
最初は笑顔で答えようとしたが無理だった。俺の隣では無いところで幸せそうに笑ってるしげを想像したら自分が思っているよりも心にくる。
「…大人ぶんな。自分にわがままになったってええねん」
そう言って前を歩いていく流星を見つめる。
大人ぶっている訳では無いんだ。ただ何が正解か分からないだけ。今でもまだ告白をするかしないかで迷っているのに。
「望?どうしたん?」
そんな俺に声を掛けてきてくれた濱ちゃん。
「…濱ちゃん。ちょっと来て」
気付いた時には濱ちゃんの手を引っ張りみんなから離れていた。
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作者名:年長さん | 作成日時:2023年3月25日 1時