【文スト】中原中也はシスコンで有る。

五話 ページ7

家に戻ってきて、深く溜息をつく。
今日の仕事が終わった訳では無い。まだ残っている。


深呼吸して、集中する。





『………異能力、「沈黙」。』




そう呟くと、私の中には沢山の言葉が入ってきた。
主婦の世間話、女子高生の悪口、サラリーマンの愚痴。
結構負の話が多い。


その中、少し物騒な会話が聞こえる方向。
ポートマフィアの本部だ。

中には首領である林太郎さん、エリスちゃん、龍くん、いっちゃん、姐さん等の聞き慣れた声もする。




…………うん。兄ちゃんの声はしない。

今なら、行っても兄ちゃんには遭遇し無さそうだ。
こんな事に異能を使うのも如何かと思うが、本当に仕事中に兄ちゃんに会うと色々面倒なのだ。





『………行くか。』




先程の資料よりも少し大きめの封筒を持ち、私は自宅を後にした。





『然してどうしてこうなった。』




本部に向かう道中。
兄ちゃんに遭遇しました。
真逆そう来るとは思っても居なかった。




「手前、態々俺に会いに来たのか！？ ホンットに可愛い奴だなァ〜！」

『もう嫌だ本当に。』




後ろで部下らしき黒服さん達がアワアワしている。
本当に申し訳御座いません。ウチの愚兄が。



『兄ちゃん、仕事中じゃ無いの？』

「今は仕事より手前だ。」

『五大幹部なんだから、もう少し仕事人間でも善いと思う。』

「家族を大事にすンのは人として当たり前ェだろうが莫迦。」

『えっ、あっ、はい。』




何気に良い事云ったよ此の人。

六話→←作品を御閲覧の皆様へ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す