メイドとして生まれた者。 4 ページ23
Aは、待ち合わせに少し遅れて、やってきた。
「遅い。忍びが遅れるなんて、どういうことですか?」
「すみません……奥様」
「それで、任務の説明だが…メイド」
「はい」
メイはゆっくりとAに近ずいて行く。
あと2mというとこで、メイは走って近づくとAの腹に注射器を刺した。
「うぐっ……!」
毒だ。
Aはその場で倒れ込むと、荒い息遣いで問いかけた。
「何故だ?」
「お前は、我が家では邪魔な存在。心が犯罪に手を染めたなどと、知られたら困る」
「言わないと、約束したはずだ」
「信じると、思うのか?」
「やはり…信じてはくれなかったか」
「ん?」
「──メイっ!」
Aは素早くメイに何かを投げた。
「これは……?」
「あいつが私に盛ろうとした、毒だ」
「何!?最初から、知っていたのか…!」
「まぁね。さぁメイ、その毒を使ってあいつを殺すんだ」
「え……」
「何をいってる!?メイド、その毒を使ってあの忍びを殺すのだ!」
「え……」
考えもしない事態に、メイは混乱する。
今、2人の命がメイの手の中にあるのだ。
誰かの命令がないと動けないメイは、今は2つの命令によって動けなくなっていた。
──誰の味方になればいいの?
「好きな方を選ぶんだ、メイ。私を殺すなら、私は抵抗などせず、死のう。それとも…」
「何を言っているんだ!?メイド、さっさと忍びを殺せ」
慌てる奥様は、足を怪我していた。
殺そうとすれば、殺せる。
一方Aは大人しく死ぬと言っている。
その表情はどこか楽しそうで、死ぬとなれば大人しく死のうという目をしている。
メイの呼吸は荒くなるばかりで、一行に決断が下せない。
そんな姿に2人は喝を入れる──
「メイド!!」
「メイ!!」
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作者名:金髪 | 作成日時:2017年10月31日 21時