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「けどよく考えてみて下さる?
その女のどこがいいのよ!
顔だって彫りが深くないし、脚だって特別長くないわ...!
目も何よその色、肌も東洋人か知らないけど病人みたいに黄色味を帯びていて気持ち悪__」
ボキリと嫌な音がした。
目の前に火花が散り脳みそが沸騰するくらい激しい怒りを感じた。
「...ぶっ殺してやる」
「ぇ」
「フーゴ落ち着け!!気持ちは分かるが抑えるんだ!」
「落ち着けるわけがねぇだろ!!この売女ッ!!」
ミスタが僕を後ろから羽交い締めにする。
握る拳がブルブルと震える。
爪が手のひらに刺さり込み血が汗の様に滴り落ちた。
親娘はソファを乗り越え避難する。
その様子にますます頭に血が登った。
「もう1回言ってみろッ!!その口二度と開けないようにしてや_」
「フーゴ!」
パシッと血塗れの手が誰かの手に包まれた。
刹那荒い息が詰まる。はっとした。浅い息を繰り返し視線を手に向けた。
小さくて細い頼りない手が僕の手をしっかり握る。
「大丈夫。私は大丈夫だから。
私の為に怒ってくれてありがとう」
ゆっくり視線を上げる。
栗色の瞳と目が合う。
僕の手を握る彼女の手が血に染まる。
「...後は僕達で話を付けるのであなた達は医務室に行ってください。
フーゴも手の傷は後で治すのでとりあえず止血のみ宜しくお願いします。
戻ってこなくて結構です。
そうですね...30分後くらいにそちらへ伺います」
「ジョ...」
「二度も同じことを言わせないでくださいね?さぁはやく」
彼の心遣いに感謝して一礼しAさんとその部屋を出た。
「...すまない、嫌な思いをさせてしまった」
「嫌っていうか...まぁ、暴露されたのは恥ずかしかったけど...」
この人は先程の悪意に満ちた言葉のナイフに対して全く気にしていないのか?
それよりも両思いと言うことの方が気にかかるらしい。
無言で廊下を進み医務室へ向かった。
誰もいないのを確認し二人で手を洗う。
染みて傷んだ傷を見る。
こんな傷になるくらい強く拳を握っていたのか。
「...私これからどうしよう」
「あなたが嫌じゃあ無いなら毎朝起こしに行くが?」
「えっ」
それってつまりと頬を薄ら赤く染め顔をそらす。この人はわざとなのか否か。
「毎朝フーゴとキスをするんだよね?」
「そうなるな。...嫌?」
「嫌じゃないっ!」
今は眠っている訳じゃあ無いが良いだろう。
彼女の頬に手を伸ばしそして少し屈んでキスを落とした。
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鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - さくらんぼ&チェリーさん» そんなッ!あなたがッ!!大好きですッ!!!(告白)ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです! (2019年8月25日 16時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ&チェリー - もう!本当に!!どうしてこんなに素敵なお話が書けるんですか!?好きです!(テンション) (2019年8月25日 9時) (レス) id: ced51d468f (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - さくらんぼさん» 読んでいただきありがとうございます!是非ごゆっくりしていってください! (2019年8月22日 20時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - 暇を持て余した夢女さん» とっても素敵な表現ありがとうございます...!こちらこそ幸せです!また機会がございましたらその時はよろしくお願いします! (2019年8月22日 20時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ - 次から次へと呼んでしまいます。気づいたら1時間ぐらい経ってました。 (2019年8月22日 15時) (レス) id: 5e7806b95a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2019年8月4日 19時