喧嘩するほど何とやら ページ40
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「...今日ナランチャとブチャラティとミスタと私で買い物に行ったでしょう?
帰り道にナランチャが買い忘れに気付いて買いに戻ったの。
で、三人で待っていたんだけどミスタがお手洗に行きたいって一度離脱したの」
その後が問題なんだけど、と彼女は続けた。
「特にすることも無かったからブチャラティと駄弁っていたの。
ブチャラティって面白い話いっぱい持っててつい聞き入ってた。
...で、ふって顔を上げたら戻ってくる最中のナランチャが女性と話してて。
はぁ?ってなったけどまぁイタリアーノだし...って我慢したんだけど...
今晩ナランチャがすっごく機嫌悪かったの。
何でって聞いたら逆に何でかわかんないの?って言われて、私もイライラしてたから口調がきつくなっちゃって...」
そう言って項垂れた。
...ちょっと待ってくれ、話を整理したい。
「ナランチャが不機嫌になった理由は分かったんですか?」
「全く...」
ブチャラティに視線を向ければ「あの時か...っ!」と手で顔を覆い天を仰いでいた。
何処から説明しようか、と言うか何処から突っ込むべきか否か些か狼狽する。
「...えーと、Aさんはナランチャが女性と話をしていて気分を害したんですよね?」
「うん...」
「で、貴方はブチャラティと二人っきりでお話をしていたところをナランチャにも見られていたと言うことですよね?」
「......えっ、あ。え!?嘘そういう事!?」
かぁっと顔を真っ赤に染め上げ顔を両手で覆った。
「つ、つまり...ナランチャはその、私とブチャラティに嫉妬していたって事...?」
「誰から見てもそう思えますね」
嗚呼、後ろから足音が走ってくる。
まぁナランチャが女性と話していた事については後々弾糾するとして今は一度身を引こうか。
「それじゃあチャオ、A。
後はご自身達で頑張ってくださいね」
「頑張るって何を...」
続きは聞かず僕とブチャラティは路地を走り曲がり角を曲がる。
後ろからナランチャがAを呼ぶ声がした。
「はぁ、はぁ...良かった無事で...」
「無事ってそんな大袈裟な...」
「大袈裟じゃあねぇよ!とにかく、良かったって言ってるの!」
俺のせいでごめん、とか細い声がする。
ううん私こそごめんなさいと続いた。
大嫌いなんて嘘だって声が重なる、そしてクスクスと笑い合う声。
良かったと顔を見合わせる。
さて、あの二人が帰ったら僕達も帰りましょうか。
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ぱ - ほんとに...ナランチャ...いやほんとにいい話でしたほんんとにありがとうございます...!!!!! (2月20日 23時) (レス) @page26 id: d599ec02c4 (このIDを非表示/違反報告)
食人(プロフ) - こんなに泣くとは思わなかった…すごく、素晴らしい作品です (2022年7月26日 13時) (レス) @page47 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
れい - 顔がぐちゃぐちゃになりました...本当にいいお話で、すごかったです!(語彙力なくてすみません)このような作品を読ませて頂いてありがとうございます!この作品に出会えてよかったと本当に思います...二人が本当に幸せになれるように祈ります...(長文失礼しました) (2021年7月24日 0時) (レス) id: 231e6087c7 (このIDを非表示/違反報告)
青 - 号泣しました…。目擦りすぎて睫毛ぼろぼろ抜けました。私の持ち得る限りの語彙力を総動員しても、この素敵な作品の尊さを表現し尽くすことはできないかもしれません…。本当にこの作品と出会えて良かったです。全細胞がディモールトベネ!と喜んでます…… (2021年3月22日 4時) (レス) id: fc7ac22f29 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - イスカさん» ありがとうございます!しかも他の作品まで...!圧倒的感謝です!!これからも精進して参ります! (2019年9月27日 22時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2019年6月30日 22時