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或る男の話☆2 ページ28

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ようやく着いた時にはどうやら数ヶ月が過ぎていたらしく、夏の日差しが垣間見えていた。



ベッドに腰掛けるAを見た。



信じられないくらいに痩せ細っていた。

何があったんだと掴みかかりはたと思いとどまる。



Aには俺が見えない。



どれだけ願ってもだ。


涙をふいてやることすら出来ない。



チェストの上に散らばった写真は俺がいつも持ち歩いていたやつだった。



ああきっとジョルノ辺りが伝えてくれたんだろう。



そう思って罪悪感と激しい後悔の念が胸を襲い、俺も横に腰掛けた。



『Aー?』



「...」



『元気だせよ、って無理かぁ。


ごめんな、俺お前の隣にいられなくなっちまった』



「...」



『愛してるぜA。

だからよぉ俺以外の誰かと幸せに__って、え!?A!?おい、どうした!?』




聞こえていないはずなのに、Aの目からポロポロと涙が数滴零れ落ちた。


震える唇から微かに俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。



『...ごめん』




『ごめんな』




『俺、やっぱり無理だ。

Aの隣を誰かに取られるのがすっごく嫌だ。




俺のエゴを許してくれ』




透ける手を重ねようとして俺は目を見張った。



俺よりも幽霊らしい肌の色の上に更に白い布が巻かれていた。

俺はその布をもう飽きるほど見てきた。




『なぁ、Aこれ、なんだよ。


どういうことだよ』




俯き微動だにしないAに詰め寄る。

どうしてこんな傷がある?
理由はわかってはいたが認めたくなかった。




「A?」



『!』



「お母さんよ、入ってもいいかしら」



駄目、と掠れた声を無視して母親が部屋に入って来る。

青白いAを一瞥し、此れ見よがしに溜息をこぼした。



「死んだ人間はもう還らないのよ。
もう忘れてしまった方がためになるわ。


ほら、お見合いをしましょうってこんなにも素敵な殿方のお写真が届いているのよ?

少しは目を通してみない?」



それに対しAは全てお断りしてと震えて何かに耐えるように言葉を吐き出した。

それを聞いて母親は一言、そうとだけ呟きチェストの上の写真に被せるように見合い写真を音を立てて置いた。


俺は思わず眉間にシワを寄せた。



母が出ていった後Aは見合い写真を引っ掴みゴミ箱へ投げ入れた。




「うっ...」



ポロポロと涙が落ちる。




「会いたいよぉ、ナランチャぁ...」




その言葉に何も返すことができなかった。

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- ほんとに...ナランチャ...いやほんとにいい話でしたほんんとにありがとうございます...!!!!! (2月20日 23時) (レス) @page26 id: d599ec02c4 (このIDを非表示/違反報告)
食人(プロフ) - こんなに泣くとは思わなかった…すごく、素晴らしい作品です (2022年7月26日 13時) (レス) @page47 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
れい - 顔がぐちゃぐちゃになりました...本当にいいお話で、すごかったです!(語彙力なくてすみません)このような作品を読ませて頂いてありがとうございます!この作品に出会えてよかったと本当に思います...二人が本当に幸せになれるように祈ります...(長文失礼しました) (2021年7月24日 0時) (レス) id: 231e6087c7 (このIDを非表示/違反報告)
- 号泣しました…。目擦りすぎて睫毛ぼろぼろ抜けました。私の持ち得る限りの語彙力を総動員しても、この素敵な作品の尊さを表現し尽くすことはできないかもしれません…。本当にこの作品と出会えて良かったです。全細胞がディモールトベネ!と喜んでます…… (2021年3月22日 4時) (レス) id: fc7ac22f29 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - イスカさん» ありがとうございます!しかも他の作品まで...!圧倒的感謝です!!これからも精進して参ります! (2019年9月27日 22時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2019年6月30日 22時

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