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1話 ページ1

〈シブヤ・ディビジョン〉
そこは、若者の集う街。
カラフルで個性あふれるこの街に住むは小説家、夢野幻太郎……。


ふふふ。ちょっとかっこいい。



……24歳一般男性が何を考えているんだろう。


いくら買い物帰りで暇だからって、これはない。
こんなイタい24歳、我ながら見てられない。


さっさと帰って晩ご飯の支度をしよう。


どうせ、今日の夜も帝統が来るでしょうし。


今日の晩ご飯は……さばを買ったから、さばのみ、そ……に……。



「え?」



さーて、ここで問題です☆
夢野先生は、どうして驚いたのでしょう!?


……誰が捨て猫がいるなんて答えるんだよ。


家の前に、三毛猫の入った段ボールが置いてある。


段ボールには小さなメモが張り付いていた。


『メスの三毛猫です。
拾って、育ててやってください。
性格は大人しく、暴れません。
どうかお願いします。』





いや。


ない。


ないないないない!


猫?俺が?


自分が拾い子だから、猫を飼うのも拾い猫ってか?


拾うわけ……。


……拾おう。


おじいさんとおばあさんと約束したから。


困っている人には手を差し伸べろ、と。
それがか弱いものであるのなら、尚更だ、と。


ろくに餌も食べていなかったのだろう、ガリガリに痩せ細った三毛猫は、その大きな瞳でこちらを見つめて来た。


可哀想だ。


でも、捨てたやつは絶対に許しませんけど。


俺の家の前に勝手に猫置いていくとか、どうかしてますよ。


生き物は飼ったなら最後まで見届けるのが飼い主の責任でしょうが!


まあ、俺の家に猫を捨てる人の気なんて知れたものだけど。



『この家珍しく和風……きっとジジイが一人で住んでるんだろうな。置いてこ。』



これでしょうね。


全くもってジジイじゃないし!


こちとら、まだピチピチの24だぞ?


懐かしの和風住宅というだけで、完全に舐められている。



「ミー……」




三毛猫が最後の力を振り絞るように鳴き声をあげた。



「仕方ありませんね」



重たいスーパーのレジ袋を右手に持ち、段ボールを三毛猫ごと左手に抱えた。



「あなたは今日から小生の家族です」

2話→



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作者名:丸山夕 | 作成日時:2019年10月14日 23時

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