50.変な私たち ページ4
冷蔵庫の扉を開けるその姿に、私はあの日の事を思い出す
カズが買ってきてくれたショートケーキはとても甘くて、忘れられない味だった
「誕生日に振られたのは悲しかったけど、カズのおかげで気持ちが楽になったというか…」
「フフ…"というか"？」
「いや、楽になりました！ありがとう」
「どーいたしまして。…ケーキ、あんなんで悪かったな。どうせならもっと良いやつ買えばよかった」
「ううん、凄く美味しかった！最近のコンビニスイーツっていい仕事するんだね？本当にありがとう」
「最後に相葉さんの邪魔が入らなかったら完璧だったんだけどなー」
イタズラな口調でそう言うと
水を飲み干してまたソファへと戻った
"相葉さんの邪魔"って…
＿＿＿『それともこのままキスする？』
あの時、相葉さんからの電話がなければカズは本当に私にキスしていた？
いや…あれは冗談だ。だってそう言ってたし
じゃあ旅行での事は？
あれも冗談だった？
いや、あの時は確か「冗談じゃない」って言ってた
それで大野さんがやってきて…
大野さんにキスされて……
あぁもう。混乱してきた…
「何こわい顔してんの」
「え？」
「眉間。皺寄ってるよ」
「はっ…」
落ち着け私……と眉間をぐりぐりマッサージ
一旦「無」になろう。「無」に
「相葉さんとは上手くやってんの？」
「え？」
「デートの話聞いてないなーと思って。つか、一回聞こうとしたけどアナタ寝ちゃってて…」
せっかく「無」になろうとしていたのに
相葉さんとのデート…
_＿『もう少し一緒にいてもいい？』
気付いてしまった彼の「好意」
次会う時は一体どんな顔して会えばいいのか…
「相葉さんはイイ男だと思うよ。もう気付いてると思うけど」
「あ……うん。すごく素敵な人だよね。明るくて前向きだし、一緒にいると元気もらえるし…」
「ああいう奴が人生のパートナーだったら、一生楽しいんだろうな」
「うん、分かる…って、何か話の方向おかしくない？別に私と相葉さん、そういう訳じゃ」
「そういう訳じゃないけど、相葉って男はオススメだよって事を俺は……」
言葉が途絶えてしまったカズは
徐々に眉間に皺を寄せ、ゆっくりと首を傾げた
「カズ？どうしたの？」
「あ…いやぁ…？」
「眉間、皺寄ってるよ」
「あぁ…」
さっきの私と同じように、
ぐりぐりと眉間を指でマッサージするカズ
一体どうしたんだろう。
カズも何かに混乱した？
とにかく私たち、今日は変だ
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作者名：ミト
| 作成日時：2019年11月23日 15時
