魔人名 ページ37
＊
「……魔人……。」
「魔人は、魔人としての名を持つ。俺は爆薬を愛し、火に焼かれない体を手に入れた。だから爆弾魔〈ボマー〉、ボマーのフーゴってわけだ。……お前はどうなんだ、ノエル？」
「ど、どうとはどういうことですの！？」
「お前の誇り高き魔人名はなんだと聞いてんだ。悪魔といっしょにいるってことは、悪魔と契約したんだろ。」
「そ、そんな名前ありませんし、どうでもいいですわ！そんなことよりジリアンを解放してくださいまし！」
そう言うとボマーは、黙り込んでガッカリしたような雰囲気を出した。
「……チッ、しょせんは腰抜けか。バロウズに「魔人と戦えるチャンスだ」なんて誘われたから乗ってみたものの……中身はただのクソガキじゃねぇか。せっかく、Aに頼んでジリアンの家を襲ったてのに。どおりで、路地裏ですれ違ったときになにもピンとくるものがねえわけだ……。これならあの場で殺してもよかったか……？……いや、あの場で殺っていたらさすがに騒ぎになってた。市街地ではだいぶ有名になっちまったからなぁ。」
ボマーの言葉は右から左へと流れて行った。何故なら、わたくしには……どうしても聞きたい事がある。わたくしは、オズオズと口を開いた。
「……あの、聞きたいのですけれど。」
「あ？なんだ。」
「ジリアンの家を襲う許可を出したのは……A、ですの？」
Aは優しい子だ、昔のわたくしを丸くしてくれたし執事やメイドたちとの仲も取り持ってくれたし、両親を説得して共に食事をする時間も増やしてくれた。わたくしたちの事が大好きであったかい、そんな存在で。市長官邸の人間になってからも手紙のやりとりもしていたのに。
「んな、わかりきったことを聞くんじゃねぇ。……それよりもノエル。俺はな、飢えてるんだよ。もはやモノは焼き飽きたし、すぐ死ぬ人間なんかじゃ満たされない。俺が爆破したいのは、悪魔……！ヒトを超えた屈強なそれを、俺の爆弾で焼きたい……！悪魔はどんなふうに砕け散って、どんな断末魔をあげて、どんな色で燃えるんだ？なぁ、教えてくれよ……！」
戦いの火蓋は切られた。Aに何があったのか聞きたいが、今はジリアンだ。ジリアンを救うため、わたくしは目の前の廃製鉄所の入り口をまっすぐと睨みつけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海野水(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！更新スピードがだいぶと遅いと思いますが、楽しい話に出来るように頑張ります！ (2019年12月14日 14時) (
レス) id: 580090c27d (このIDを非表示/違反報告)
海野水(プロフ) - 銀髪ピアス☆エクスタにゃんこさん» 返信および更新が遅くなってしまってすいませんでした！読み返して下さっている事、本当に嬉しいです！いつも読んでくださって有難う御座います！最近ネタが難産なのですがゆっくりになると思いますが頑張ります！ (2019年12月14日 14時) (レス) id: 580090c27d (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2019年9月25日 15時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
銀髪ピアス☆エクスタにゃんこ(プロフ) - いつも読まさせて頂いてます！純粋にとても面白い作品で何度も読み直してしまうほど好きになった作品です☆ 続きも楽しみにしております！ (2019年7月18日 10時) (レス) id: e3cd7b0c38 (このIDを非表示/違反報告)
海野水(プロフ) - 帝華さん» ありがとう御座います！更新はゆっくりですが、これからもよろしくお願いします！ (2018年3月26日 17時) (レス) id: 580090c27d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海野水 | 作成日時：2017年12月1日 15時
