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「……ホールを出ていくキミのことが気になってね。」
何故追ってきたのか、ココを知っているのか。そこは問わない。
きっとAかジリアンが関係しているから。
心配をかけてしまった事に少しまた罪悪感が募る。
「ノエル・チェルクエッティ君。私は演奏家ではないがキミの気持ち、わからなくもない。」
「…………え？」
彼が言い当ててくる言葉は全て“ソレ”で、ついつい黙ってしまう。
「結果をくやしいと思うかい？」
彼はわたくしの隣に来ると優しそうにまた微笑んだ。
わたくしは、吐き出すように、静かに言葉を紡いだ。
もちろんだ、と。わたくしはあの子に負けたくなかった、式典奏者になりたかった、と。
次に彼が尋ねたのは、ジリアンの仲。
わたくしはそれに正直に答えると、彼は眉をさげた。
「ライバルであり、親友というわけだ。くやしいのは、なおさらだろうね。」
「だが、キミの演奏もジリアン君に負けないくらい評価を集めていたようだよ。」
と彼はそう慰めや提案をしてくれるものの、そんなものに意味はないと悲痛な声で叫んでしまう。
「わたくしが欲しかったのは、誰よりも……もちろんジリアンよりもすごいという証。それだけですの。」
切羽詰まったその声は静かに響く。
「二番目にすごかろうと、評価されようと……。今、一番でないのなら意味がありませんわ。」
だって、自分は、つねに、いつも……一番でなければならない。
そうやって生きてきたし、色んな欲が自分の中にはあった。
ジリアンに褒めてもらったり、憧れてもらうため。
そして、Aが誇れる友人として、その立場にはしがみついておきたかった。
「……そうか。」
市長は静かにそう言った。
会話が途切れ、沈黙の最中にさざ波の音がする。
「…………失礼しますわ。」
自分が踵(きびす)を返したその時だった。
「……もしも、本当にあきらめきれないのならば……。」
静かにそう響いた声に「え……？」と声を漏らした。
「今年の式典奏者の座を心の底から欲しいと思うのならば……。」
心臓の音が大きく波打った。
「なにがなんでもジリアン君の先を歩みたいのならば……＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿今夜午前２時。ひとりで港のそばの廃ビルに来るといい。」
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海野水(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！更新スピードがだいぶと遅いと思いますが、楽しい話に出来るように頑張ります！ (2019年12月14日 14時) (
レス) id: 580090c27d (このIDを非表示/違反報告)
海野水(プロフ) - 銀髪ピアス☆エクスタにゃんこさん» 返信および更新が遅くなってしまってすいませんでした！読み返して下さっている事、本当に嬉しいです！いつも読んでくださって有難う御座います！最近ネタが難産なのですがゆっくりになると思いますが頑張ります！ (2019年12月14日 14時) (レス) id: 580090c27d (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2019年9月25日 15時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
銀髪ピアス☆エクスタにゃんこ(プロフ) - いつも読まさせて頂いてます！純粋にとても面白い作品で何度も読み直してしまうほど好きになった作品です☆ 続きも楽しみにしております！ (2019年7月18日 10時) (レス) id: e3cd7b0c38 (このIDを非表示/違反報告)
海野水(プロフ) - 帝華さん» ありがとう御座います！更新はゆっくりですが、これからもよろしくお願いします！ (2018年3月26日 17時) (レス) id: 580090c27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海野水 | 作成日時：2017年12月1日 15時
