練磨 ページ26
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｢はい死んだ。次｣
カン、と木刀を首に軽く押し付け息も絶え絶えな俺を見下ろす先輩に眉を寄せる。かれこれ三十分くらい休み無しで打ち合ってる。打ち合ってるというか、転がされまくってるが正しいけど。
太陽が眩しい。服の襟を伸ばして伝ってくる汗を拭いて声が漏れた。
『一応病人っす俺』
｢ほぼ治ったようなモンって言ったの誰だよ｣
『パンダ先輩です…』
オマエら近接弱っちいから鍛えてやる、と教室を訪ねてきた先輩達に連れられてから小一時間。誰かの任務に着いていこうとしていた俺はやんわり断ったが、先輩と釘崎の圧に負け抵抗虚しく引き摺られた。俺の顔を覗き込んで安否を確認する狗巻先輩に軽く返事をする。
まだ頭の包帯は取れてない。高専所属の医師だという家入さんに普通に生活して平気だけど、何度も頭打ったりしたら危険だからねと一言貰った次の日にコレだ。辛うじて今のところ全て受身はとれているけれどヒヤヒヤが止まらない。
｢じゃあ辞めるか？｣
『…いいえ』
今の会話の間にほんの少し回復した体力で立ち上がり型を作る。笑いを隠さない先輩に目を逸らした。親指を立てて応援する狗巻先輩が見える。
アレコレ言ったのもちょっとした時間稼ぎだってバレているなと考えて恥ずかしくなって先輩に切りかかった。
首を狙うように一閃。当たり前に躱されるのは予測済み。そのまま足を踏み切り後ろに回ろうとして、先輩から繰り出される木刀に足が止まる。これじゃ回れない上に相手の攻撃範囲だ。後ろに跳べば間髪入れずに詰めてくる。猛攻撃に対応するのにいっぱいで攻めに入れない。防戦一方でジリジリと後ろに責められる。
｢また守ってばっかりだなぁ？A！｣
『…ッソ』
埒が明かない。相手の木刀に渾身の力で返してその反動でまた距離をとった。やっぱり先輩は詰めてくる。木刀が己の首を狙ってくるのに揃えて身を縮める。そのままバランスを崩すように足で払いを掛けて、当たった感触がなくて目を見開く。マズった、これは。目前に迫った刀に目を瞑る。
『イ"ッ…』
｢術式頼りが行動に出てんぞ。距離とって全然攻めに来ねぇ、口が封じられたらどうするつもりだよ｣
『…はい』
｢私がもし式神系の呪詛師と戦うなら絶対に詰め続ける。そういう奴らは近接弱いのが相場だからな。だから裏をかくんだろ｣
ニヤリと俺を見遣る真希先輩が全く疲れてなさそうだ。
目を閉じて息を吐いて、そっと心を落ち着かせる。
『もう一本、お願いします』
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てふ(プロフ) - しゃけさん» ありがとうございます。結構尖った作品なので不安でしたが、好きになって貰えてとても嬉しいです！ (9月8日 3時) (
レス) id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ - こんなにドストライクな作品初めてみました。とても好きです。 (9月7日 23時) (レス) @page24 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
てふ(プロフ) - 柴イヌさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えれるよう頑張ります！ (8月21日 12時) (レス) @page21 id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - めっちゃ面白いです！続きが待ち遠しいです。作者様のペースで次回作待ってます！ (8月21日 9時) (レス) @page21 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
ちと(プロフ) - へいさん» お返事遅れて申し訳ありません。大変嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2022年10月21日 1時) (レス) id: 20c14f813d (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年8月31日 19時
