邂逅 ページ20
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「避難区域10kmまで広げてください」
「伏黒君と虎杖…君は?」
『Aで良いっす。俺は残ります』
「俺も残ります。もしもの時、俺にはアイツを始末する責任があります」
釘崎を救出して暫く。
伊地知さんに釘崎を任して、去っていく車を眺める。伏黒は既に玉犬によって合図を出している。悠仁はもう宿儺に交代している頃合いだろう。
「いいのか」
『何が?』
「アイツがアイツじゃなかった時、お前は…」
『さっき目ェ覚めたって言ったろ。切り替える…とはまではいけないけど、俺も腹括る』
安堵したように伏黒が息をつくので声を掛けようとした刹那、空間がねじ曲がり頭の中で金属声が響き渡る感覚で本能的に少年院の方を向く。嫌な気配が薄まって無意識に空気を吐く。きっとあの特級呪霊が倒されたんだ。
これで悠仁が戻ってくれば、
「ヤツなら戻らんぞ」
よかったのに。
隣から押し潰しにくる重圧に耐えられない。姿は片割れのソレなのに、こうも違うものか。縛り。それがないから悠仁は思うがままに代われないらしい。俺がソレがなんなのかを詳しくは知らないけれど、どうも頭の中に警笛が鳴り響く。振り払うように頭を搔いた。
「俺に今できることを考えた。
宿儺がビリビリと制服を破く。ああ、それは悠仁が気に入ってたのに。五条先生が折角カスタムしてくれたのに。
「駄目押しだ」
嚥下する音がやけに響いた気がした。
震えるように脈を打ち、地面に投げ捨てられたソレを眺める。
恐怖なぞない。舌を噛んで飲み込むだけだ。
「さてと、晴れて自由の身だ。もう怯えていいぞ、殺__」
『"来い"』
「っA!」
言葉なんて必要ない。ただ憎くて憎くて仕方ないだけだ。
現れたやせ細った男を見上げる。猫背で己を抱き締めながらブツブツと何かを呟いている。それを無視して脳内で指示を出せば、男はのそりと身を動かして口を大きく開いた。
《 し ね 》
「!ふむ、呪言の様なものか」
宿儺の右腕が弾け飛ぶ。コイツの中での最大級の威力を出したというのに、たった右腕だけなんて呆れて笑いが出る。秒も待たずに再生し始めるソレをみて、畳み掛けるように命を出す。全身が爛れた字に埋め尽くされている男は、ビクリと手の関節を揺らした。
「それにはもう飽きた」
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てふ(プロフ) - しゃけさん» ありがとうございます。結構尖った作品なので不安でしたが、好きになって貰えてとても嬉しいです! (9月8日 3時) (レス) id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ - こんなにドストライクな作品初めてみました。とても好きです。 (9月7日 23時) (レス) @page24 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
てふ(プロフ) - 柴イヌさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えれるよう頑張ります! (8月21日 12時) (レス) @page21 id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - めっちゃ面白いです!続きが待ち遠しいです。作者様のペースで次回作待ってます! (8月21日 9時) (レス) @page21 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
ちと(プロフ) - へいさん» お返事遅れて申し訳ありません。大変嬉しいお言葉ありがとうございます! (2022年10月21日 1時) (レス) id: 20c14f813d (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年8月31日 19時