双生 ページ12
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咄嗟に腕でガードして、パンチを防ぐ。
それでも防ぎきれなくて、衝撃の圧に耐えれず壁に打ち付けられる。受け身も取れずに頭を壁にぶつけた。
『ッテェ…マジで馬鹿力じゃん…』
｢呪術師は慈善事業じゃない。他人の為と自己を費やし尽くし、やがて己が朽ち果てたとしてもその先に求めたものがあるとは限らない。君はそれに耐え切れるのか？｣
『それは…っクソ、普通に話させろ、よッ』
学長が喋っている間にも、人形は俺を目掛けて殴り掛かる。答えようにも避けたり防いだりするので必死で、思ったように言葉が出ない。
敬語だって剥がれてきた。元々得意じゃないのに、こういう状況では尚更取り繕った言葉など繰り出せなかった。
｢呪術師に悔いのない死などない。宿儺の器の死刑は揺るぎないものだ。君が身を粉にし、足掻いた先にあるものが変わりない彼の死刑執行だった時、君は彼を呪わずに済むのか｣
呪力を纏って人形を殴り返す。
俺が悠仁を呪う。そんな事ありえないとは言えなかった。
俺が必死こいて悠仁を護って、でも護り切れなくて悠仁の死刑が執行された時俺はきっと呪ってしまう。
世界を呪い、呪術師を呪い、俺を呪って、最後に悠仁を呪う。
お前が宿儺の指を食べなかったら。
お前がもう少し悪であれば。
そうやってタラレバを繰り返し、何もかもを呪って死に絶える。なんとも醜い想像がついた。
でも、それでも。
『護れなかったら、きっと俺は悠仁を呪う。でも、護ろうともせずに悠仁が死ぬのを知らん振りして俺にはきっと無理だって自分に言い聞かせるのは嫌だ。護る為にここに来たんだ。悠仁が死ぬ時のことは分からないけど、生き様で後悔はしたくない』
人形を呪力を込め身動きが取れないように力任せに床に押し付ける。正直人形は相変わらずの馬鹿力で押し返して来そうで、目を離す余裕なんてないけれど。
それでも、これは目を見て言わなきゃダメだと思った。
｢…似てないと思っていたが、これは…｣
｢正真正銘の双子だね｣
返答を待っていると、何処か呆れを含んだ学長と心底楽しそうな五条先生の声が聞こえて、思わず目を瞬かせる。
なんだこの空気。妙に生暖かい目で見られているようでムズムズする。紛らわすように下敷きにしている人形を心臓マッサージのようにギュムギュムと緩く押し付ける。
｢悟、彼等を寮に案内してやれ｣
『え』
｢合格だ、ようこそ呪術高専へ｣
返事をする前に、気が抜いた事を仇に人形にアッパーをかけられた。
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てふ(プロフ) - しゃけさん» ありがとうございます。結構尖った作品なので不安でしたが、好きになって貰えてとても嬉しいです！ (9月8日 3時) (
レス) id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ - こんなにドストライクな作品初めてみました。とても好きです。 (9月7日 23時) (レス) @page24 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
てふ(プロフ) - 柴イヌさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えれるよう頑張ります！ (8月21日 12時) (レス) @page21 id: cfa7e5adb6 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - めっちゃ面白いです！続きが待ち遠しいです。作者様のペースで次回作待ってます！ (8月21日 9時) (レス) @page21 id: a0f7c3b137 (このIDを非表示/違反報告)
ちと(プロフ) - へいさん» お返事遅れて申し訳ありません。大変嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2022年10月21日 1時) (レス) id: 20c14f813d (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年8月31日 19時
