ギャングスターが王子になるらしいよ (ページ5)

今日:5 hit、昨日:9 hit、合計:3,529 hit

アラジンページ5

夜風にあたるA。隣には愛猫のトラ、ソアナ。立派なたてがみを撫でていると、真っ白な王子服に身を包んだ先程求婚してきた、ハルノ王子が来た。だが、ここはお城の1番上のベランダ。街中を一望できるほどの高さなのにどうやってここへ？
「これは魔法の絨毯ですよ」
「えぇ…とても綺麗」
絨毯は意思があるようで、端を器用に使い、Aの手を取り甲をキスするような仕草をした。
「どうです、良ければ一緒に乗って飛びませんか？宮殿を出て、この世の中を見るんです」
「平気なの？」
Aは興味はあるが、落ちるかどうかが心配だった。そんな彼女の心の底にある好奇心を連れ出すようにハルノは言った。
「僕を信じて」
その言葉に見開いたAはもう一度聞いた。
「なんですって？」
魔法の絨毯にのって手を差し伸べるハルノはもう一度言った。
「僕を信じるんだ」
面白い、と笑ったAは、
「…！いいわ」
とその手を取った。
ハルノは引き寄せ、絨毯に乗せると、勢い良く絨毯は動き出した。
「あぁｯｯ！！」
その勢いに気圧されたAは思わずハルノに抱きつく。ハルノは、安心させるように笑った。
「大丈夫ですよ」
スピードを下げた絨毯は風が心地よかった。
「見せてあげよう
輝く世界」
歌い出したハルノはAの背中を支え外の世界を良く見えるようにした。
「プリンセス
自由の花をほら」
外に夢中になっている間に、壺に刺してあった花を1輪Aに差し出した。その匂いをうっとりと嗅ぐA。
「目を開いて
この広い世界を
魔法の絨毯に身を任せ」
絨毯は自由自在に動き回る。回転したり、一気に上がったり下がったり。だが、不思議と彼らは落ちる心配はなかった。だが、一気に上昇し、雲の上まで来た。
「大空
蜘蛛は美しく
誰も僕ら引き止め
縛りはしない」
ハルノはどうだと言うようにAに視線を向けた。向けられたAはその続きを歌い出した。
「大空
目が眩むけれど
ときめく胸初めて
あなた見せてくれたの」
雲をキャッチして楽しそうに飛ぶ彼女はとても可愛らしかった。
「素晴らしい世界を」
「素敵すぎて信じられない」
魔法の絨毯の周りに飛ぶ鳥も驚いた。
彼らは魔法の絨毯から離されてもトランポリンのように跳ねてまた絨毯に着地した。
「きらめく星はダイヤモンドね」