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「令子さん！」
『ちょっと真司、声大き……』
「大丈夫ですか？！」
『聞けよ…』
令子サンが入院したと聞いていてもたっても居られず、編集長に許可を貰った後、私達は病院へやって来ていた。
真司が病院にも関わらず大声を出すのに、眉間に指を添えてため息をつく。
「ちょっと、ここは病院よ？大声出さないの。Aも言ってるじゃない」
「すいません…」
『令子サン、大丈夫です？』
「ええ」
と、気配を感じて横を見る。そこには、椅子に座った須藤サンが。
『須藤サン…？』
「Aさん。一昨日ぶりですね」
「なぁに、A。知り合い？」
『あぁ、はい。一昨日、絡まれていたところを助けて頂いて…』
家まで送ってもらったと告げると、令子サンは驚いたように、そう、と言った。そして真司に向き直る。
「城戸くん。こちら、小竹署の、須藤刑事さん」
「どうも」
「えっ…刑事さんって…令子さん、何かしたんすか！？」
「私が被害者よ。見れば分かるでしょ」
「はぁ…」
そう言った令子サンは頭に包帯を巻いていて、目には眼帯をしている。事件に巻き込まれた結果の入院らしい。
須藤サン曰く、大森町のアンティークショップ…令子サンが被害者の共通点だと調べていた店で、夜、襲われたそうだ。
「ですが…貴方の言う行方不明事件との関連はどうでしょうかね。いくら何人かがあの店の常連客だったとしても」
「でも…店長までが姿を消しているとなると、関連性を疑いません？」
「まぁ、少なくとも貴方の場合は完全に事件ですので、あとはこちらの方に任せてください」
「勿論。昔から警察は信用してますから」
須藤サンは令子サンの言葉に微笑んで、｢では｣と言って踵を返した。真司が｢お願いします｣と頭を下げると、彼も頭を下げてから病室を出る。
須藤サンの姿が見えなくなってから、私は令子サンに視線を移した。
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
