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『令子サン、ホント…』
「何よ」
『いや…皮肉がお上手だと思いまして…』
先程の令子サンの言葉。美しい笑顔で述べられたその言葉は、警察嫌いの令子サンが言うはずもない、堂々とした皮肉だった。
「ま、Aがお世話になったって言うなら、信じてもいいかもしれないけれど」
そう言ってから、令子サンは自分の手帳を取り出した。
「城戸くん」
「はい？」
「分かってるわね？貴方に頼むのはかなり不安だけど…AはAで受け持ちの取材があるから」
本当はAに頼みたいんだけど、と令子サンが言って、手帳から出てきたのはメモ用紙。それを令子サンは真司に突きつけた。
「アンティークショップの店長の加賀友之。調べてみて」
「加賀…友之ですね。分かりました！」
真司が張り切って、病室から飛び出そうとする。そして、思い出したように立ち止まった。
「あ、令子さん。…目、大丈夫ですか？」
「これ？単なるものもらい」
令子サンは眼帯を指さして、笑って言う。真司も安心したように笑って、今度こそ病室から出ていった。
『ものもらいなんですね、それ』
「そう。怪我じゃないわ」
『良かったです』
令子サンを襲った犯人。令子サンはそれすら連続行方不明事件と関連性があると思っているらしいが…正直なところ、私は関係ないと思っている。
何故かって、もし仮にこれが今までのものと同じくミラーモンスターによるものだとしたら、令子サンが食べられていないのはおかしい(勿論無事で本当に良かったが)からだ。
ミラーモンスターが意識を失わせて放置だなんて、面倒なことをするとは思わない。
それはさておき、被害者に共通点がある理由は謎のままであるが…。一定の場所に住み着くタイプのモンスターでも存在するのか？
「Aはこの後どうするの？」
『午後から取材が入ってるので…このままどっかでお昼食べて、その後取材に行こうかと』
「そう」
令子サンにまた来ますと告げて、病室を出る。
清潔な廊下を歩いて外に出ると…そこには。
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
