【浦島坂田船】握手会の記憶

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『う…ぁ…』

情けない声。自分でも呆れてしまう。

4人は、私を救ってくれた恩人なの。

私は4人が大好きで…

本当に大好きで…




(あの4人はどうかな？？)


『！？！？』


(怒ってるかなー、とか考えないの？)


怒ってる…？どうして？？


(だって、大切なファンだよ？

あの4人の活動はファンのおかげもある。

ファンがいなきゃ、あの4人はどうなる？)


やめて。


(まーた馬鹿なことしちゃったね、

自分のことばっかり。

本当に好き？あの4人。

その好きは、自分のための好きじゃないの？)


『やめてっ…！！！！！！』


喉が痛い。何かが垂れているような感覚。


「え、急に何言ってんの…？
ってうわ！！口から血出てる、やっば…
行こ、みんな」

女の子4人は駐車場から逃げるようにして出ていく。

血…？あぁ、思い切り叫んだから切れちゃったのかな。

そういえばコケた時足にも怪我してる。
それどころじゃなくて気が付かなかった。

凄まじい倦怠感にバタッと仰向けになる。
駐車場で寝転ぶなんて汚い…なんてどうでもいい。

酷い人達だったなぁ、でも、ファンなんだ。


愛って怖い。大好きだから私をこんな風に痛めつける。それは本当の愛なのか。

ただの八つ当たりではないか。


『…っ』


ポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちる。

自業自得。私があの4人を愛したから。

『でも…悲しいよ…苦しいよ…たすっ…けてよっ…！！』

前読んだ本ではこういう時王子様が助けに来てくれていたが、こんな薄暗い駐車場に誰かが来てくれるはずもない。

これが現実。絵本のようにはいかない。

怖いなぁ、現実を消して想像の世界で暮らせたらどれだけ楽だろう。

泣き疲れたのか眠くなる。

真っ赤に腫れた目が閉じていく。

その眠気に逆らうことが出来ず、私は目を閉じた。

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