夜明けのいばら道�� ページ34
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──────それから十数分後。
｢ぅ………ぐす、っ………………｣
正常な意識を取り戻した野薔薇が初めに聞いたのは、何処からか聞こえてくる泣き声。そして、自分が椅子に座り、後ろで手を縛られていると気がついた。
辺りを見渡せばそこは小さな部屋で、壁一面には不気味な札が貼られており、とても芸能事務所とは思えぬ空間が広がっていた。ぽつんと置かれた机に腰かけた鶴瓶の顔からは、今までの優しそうな営業マンの面持ちは消えている。ナイフで葉巻を切りながら、顔を上げた野薔薇を見やった。
｢………………何してくれてんだテメェ｣
｢あ、そっちも正気に戻った？つーか口悪いね、君｣
ぐずぐずと泣くAを忌々しげに睨めつけていた鶴瓶は、今度は2人の後ろに視線を動かした。そこにはもうひとつの影が。
｢だから慎重にやれっつったろ小泉ちゃん。
拘束が雑すぎて逆に違和感持たせちゃったじゃん。｣
｢ご、ごめんよ鶴瓶サン。だってこの女、金槌とか持ってて怖かったし。そっちのガキのカバンの中は紙で溢れかえってたし、不気味じゃん｣
小泉と呼ばれたその男は、気弱そうな口ぶりには合わない巨体を持っており、体つきだけならあの東堂をも超えそうな域であった。プロレスラーだと言われても疑いはしないだろう。そんな大男の存在に気づいたAは、蛇に睨まれた蛙も同然、ひゅっと息を飲んで大人しくなった。
｢まあ念の為の心配はしてたけど、まさかこんな簡単に意識が覚醒するとは思っていなかったのも事実。釘崎ちゃんに蕨美ちゃんだっけ。君らどんだけ自我強いの。ちょっと引くね｣
｢あ？｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年2月26日 12時
