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「一つ、故人を偲ぶのは当人と(ゆかり)のある者たちの特権だ。俺たちが立ち入る問題ではない。
二つ、人死にが出たのならば尚更俺たちに求められるのは、強くなることだ」


後天的強さとは、ひとつひとつの”結果“の積み重ねであり、敗北を噛み締めて次へと進むことが大切だと東堂は続けた。まあ確かに言わんとしていることは間違いではない。むしろ彼にしては割と真面目な理由だ。


「そして三つ、学生時代の不完全燃焼感は死ぬまで尾を引くものだからな」

「あの人何歳や」

「ぶっっふぉっwwwwww」


軽く5、6回目くらいなのではないか。
Aの知る限り、“学生時代の不完全燃焼感がどうのこうの”なんて話をした高校3年生は後にも先にも彼だけだ。思わずポロリと零れたツッコミに、五条が盛大に吹き出した。


「俺は構わないですよ」

「どうせ勝つしね」


伏黒の言葉に、野薔薇がコクコクと頷く。「1年生ってやっぱり元気やなぁ……」と心の中でため息をこぼしたAだが、


「屁理屈だが一理ある」

「加茂くんは休んだら?」


花御にやられたせいで頭に包帯を巻いた加茂までもが頷き、まさかと思い辺りを見渡してみるも、反論するような人は見当たらない。


「え、え、なんで皆してそんなやる気なん」

「異議なーし」

「しゃけ」

「じゃー決まりね。Aちゃんもそれでいいよね」


お前もやれよという無言の圧力。
これ以上戦うのは御免だと感じつつも、彼らを上手く丸め込めるなんて微塵も思っていないAは、静かに「わかった」と頷いた。最早諦めの境地である。









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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月26日 12時

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