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それから時は流れ、団体戦開始直前。
A、棘、真希、伏黒が話しているのを物陰から見ていた野薔薇は、不意に虎杖に尋ねた。
「アンタ、真希さんのことどう思う?」
「?!」
いきなりの質問に虎杖はぎょっとする。野薔薇の性格から考えて、どう答えても角が立ちそうだ。
一気に顔を青ざめさせた虎杖は必死で思考をめぐらせ、1番無難であろう答えを口にする。
「と、とても素敵な女性かと…………」
「あ?術師としての話よ」
「そっち?」
その瞬間、ああ良かったと心の底から安心した。
死ななくてよかった。
「正直、呪術うんぬんはまだよく分かんねえけど、喧嘩は超強い。重心っていうか、歩き方でもうヤバい」
「………………真希さん、4級なの」
「え゛、マジ?!」
ぽつりと言った野薔薇の一言に、虎杖はぱちっとその目を見開いた。そりゃそうだろう。呪具の扱いなら高専イチ、人にも呪霊にも容赦ナシな真希が4級。低く見積もっても2級はあるだろうと思っていたもんだから、その数字には驚きだったのだ。
「家が面倒な術師の家系でね。セルフ勘当みたいに出て行った真希さんの昇給を邪魔してんのよ」
「呪術師の家系なら強い術師は大歓迎じゃねえの?」
「一度否定したものを認められないのよ。バカだから。それに、A先輩だって酷い扱い受けてんのよ?」
はあ、と野薔薇は苛立ちながら頭を搔く。
そんな彼女が思い返していたのは、少し前のこと。
「前に来てた真希さんの妹。アイツからは真希さん側に着いてったってだけでボロクソ言われて、ビビリだから世間にも舐められてんの。クソッ!なんでA先輩があんな事言われなきゃなんないのよ」
「ビビりは否めねえけどな」
「まァね」
「A先輩を可愛い可愛いして育ててきた蕨美家は先輩が呪術師になるのをまだ完全に認めてないみたいだし、真希さんだって嫌がらせ受け続けてきてんのよ。だから虎杖、分かってるわよね?」
この交流会で知名度が上がればそう簡単に嫌がらせは出来なくなるし、Aの親たちも快く彼女を呪術師として認めてくれるだろう。そのためにも、まずは勝たないと。
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時