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帳が降りたことで辺りは一気に暗くなり、学校の中に入ると更に不気味さが増していく。静まり返った校内には、3つの足音と、Aの泣き声だけが響いていた。
「禪院さん蕨美さんは怖くないの?」
「苗字で呼ぶな」
「怖いに決まっとるやろ夜の学校やで?これが怖ない奴はただのアホや。ドアホや」
誰がドアホだ!と真希に殴られ、誰も真希のことやなんか言ってへんやんか!とAが悲鳴をあげた。
そんなやり取りを眺めながら、愚問だったかなと憂太は思う。しかし確かにAの言う通り、夜の学校なんて恐怖以外の何物でもない。こんな中を平気で歩いてられる真希が凄いくらいだ。今にも何かが飛び出してきそうな雰囲気に、憂太は怯えながら2人の後を追いかける。
一方、Aはわんわん泣きながらも、ある違和感を覚えていた。
(……何で一体も出てこおへんの。気配はすんのに)
間違いなく呪霊はいる。それなのに、彼らは襲ってくるどころか姿を現す素振りすら見せないのである。憂太がいる所為なのか、その真相はよく分からない。
「おい」
「はい?!?!」
「お前、何級だよ」
いきなり呼ばれ、ビクッと肩を跳ねさせて返事をする憂太に、真希が問う。しかしイマイチ分かっていないようなので、「呪術師には1級から4級の階級がついてるんよ」と説明した。端的な解説に「なるほど」と納得した憂太だったが、それでも彼は眉を下げたままだ。
「でも僕、呪術高専来たばっかだし……。そんなんないんじゃ……」
「あーもーいい。学生証見せろ。あのバカ目隠しから貰ったろ」
どうやら階級までは聞かされていないのだろう。
痺れを切らした真希は、差し出された学生証を強引に奪い取り、手元のそれに目を落とした。隣から覗き込んでくるAにも見えるように少し傾けた学生証には、証明写真と名前、誕生日、そして階級が書いてあるのだが……。
(と、特級?!)
その数値は、予想の遥か上をいくものだった。
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年3月4日 15時