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背後から声がして、文字通り呪霊が『止まる』。
そして、突然すぎて状況を掴めないAの前でフリーズする呪霊に、何かが突っ込んだ。
｢はーいオツカレサン｣
Aの倍近くあるその呪霊を殴り飛ばしたのは、白と黒のふわふわした何か。そこでやっと自分が置かれる状態を把握したAは、見開いた目をぱちぱちさせた。
｢ふ、2人とも何で…………｣
易々と呪霊を吹っ飛ばしたパンダが大丈夫か？とこちらを振り返り、棘はAの額から流れる血を見て｢おかか、おかかっ！｣と焦っている。
それだけではない。
｢お前ら先走ってんじゃねえ！Aは！｣
｢おー、無傷ではねえけど生きてるぞ｣
｢しゃけ｣
ゼェゼェ言いながら階段を駆け上がってきた真希。
彼女は座り込むAを見て、ホッとしたように胸を撫で下ろした。一方のAは、皆が助けに来てくれたという安心感に飲み込まれ、逆に固まってしまっている。
｢怪我、平気か？｣
｢う、………………ぁ…………｣
真希がAの前にしゃがみ、顔を覗き込んでくる。
その声はいつもみたくぶっきらぼうだけど優しくて、Aの目から、堪えていたはずの涙が溢れた。
｢うぁああああああん真希ぃぃいいいいいっ！！｣
｢うおっ、バカお前制服に血ぃつくだろーが！｣
｢そんなん知らんもんうわああああああああ！！｣
思いっきり抱きつけば、バシバシと背中を殴られる。
そんなこと気にせずぎゅうぎゅうとくっつくAの姿に、向こうの方の呪霊を祓い終えたパンダと棘が顔を見合わせ、笑った。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月4日 15時
