【番外編】準2級なんて称号を与えられたけどやっぱ呪術師は怖いです。【呪術廻戦】 (ページ30)

今日:18 hit、昨日:11 hit、合計:80,638 hit

□□□ ページ30

･

ここでこの呪霊たちを祓って、自分のすべきことを全うすれば、みんなに認めてもらえるかもしれない。

少し残った恐怖でまだ足は震えている。けれど、そんなことを気にしている暇なんてない。仕込み杖を構え直し、人型(ヒトガタ)を引っ掴み、Aは部屋のドアを開けた。

｢私は呪術師になりたくてここに来た。なら祓わなどないすんねんって話や｣

いつまでも泣き虫のお嬢様なんて嫌だ。

Aが呪術師になりたいと駄々を捏ねた際に両親が認めてくれたのは、Aの信念を見越してのことだと思っていた。しかし今思えば、両親も召使いたちも、｢何もできないと思い知ったら帰ってくるだろう｣とAを少々バカにしていたのだろう。
そんな奴らのことも見返してやる！と強く意気込んだAは、仕込み杖の柄に手をかけ、食堂の前に立った。

｢頑張れ私、頑張れ私、私はやったらできる子や。
祓って祓って祓ったら終わる。大丈夫…………｣

大きく深呼吸をし、すらりと仕込み杖を抜く。
ギラッと怪しく光る白刃はAを味方してくれる。
出てきたらすぐさま斬れるように体制を立て直したAはもう一度深呼吸をし、今度は勢いよくドアを蹴飛ばした。

─────ガタンッ！

勢いをつけすぎたか、吹き飛んだドアは綺麗な足型を残して床に転がっている。

｢ひっ、…………！｣

ぎょろぎょろと動く呪霊の目がAに向くと、恐怖をあおられてまた走り出しそうになる。でも必死で踏ん張って、不気味な音を立てながら近づいてくる呪霊に斬りかかった。

･